第十三回ふわふわラジオ(3)
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柴「どうしたら上手く会話できるか? の話が、いつの間にかそもそもどんな会話が上手いor楽しいか? になってました」
上「上手い会話、上手い会話かあ。楽しい会話のことなら結構はっきりわかったけども、上手い会話ってどんなふうなのかイマイチ分かんないわね」
柴「お互いに嫌な思いをせずに終えられる会話、とかですかね?」
上「上手く終わらせるための会話ってこと?」
柴「うーんそう言いかえるとなんか嫌な感じが」
上「だよね。なんか、いらないんじゃないかな? と思うよ。上手い会話なんてさ」
柴「しかしそれじゃああまりにも、回答になってないと言いますか。あー、じゃあほら、上崎さん上手い会話はできなくても会社で問題なく人とのやり取りはできてるんでしょう?」
上「うん、まー、あたしが思う限りでは?」
柴「その時にどういう事に気を付けてますか」
上「あー……余計なことを言わない、かな」
柴「そうそう、そういうのを説明してあげましょうよ」
上「えー、でも、それこそさっき言ったやつじゃない? どういい具合に会話を終わらせるかばっかり考えてるというか。これ言ったら面白いかなと思ったことを、言わない。これ言ったらもっと分かりやすいかなと思ったことを、言わない」
柴「もっと分かりやすいを言わないのはまずいのでは?」
上「んー、なんていうか、言った後にもっと上手い言い回しというか、表現を思いつくことあるじゃん? それを敢えて言ったりしない、って感じ。勿論相手に伝わり切ってないようなら別だけど、ちゃんと伝わっているようなら、自己満足な言い足しをしないっていうのかな」
柴「あー、それ、言えてるかもです。大抵の場合、必要最低限を越えるものは、自己満足の話ですからね」
上「相手に分かりやすく伝える、もその相手がめちゃくちゃ理解力あったりすると余計な気遣いだったりするし。ってなると、これが上手い会話になるのかな? 相手を見て余計なことを省いて丁度良く伝える」
柴「それで、楽しい会話は、自己満足になり得るようなやりとりをお互いに楽しめている状態って感じですかね」
上「もうなんか、社会、疲れるね」
柴「えっどうしたんですか急に」
上「いや、なんであたしは日々の会話の一つ一つにそんなこと考えて生きてるんだろうってちょっと」
柴「社会生活というか、他人と生きるのって気遣いが必須ですからねえ。過剰なものは兎も角、見て、考えることが必要ですから」
上「やっぱあたしは一人が性に合ってるなー。別にずっと孤独でいたいわけじゃないけど、一人の時間もないときついわ」
柴「それはまあ多くの人がそうだと思いますけどねえ」
上「そう? でもそれこそ多くの人がさ、結婚をして、家庭を持ってない?」
柴「あ、もうそれすらきついレベルで集団生活苦手ですか」
上「実家にいた頃は自覚なかった、というか分かんなかったけど、一回一人暮らししちゃうとねー。これほど楽なものは無いってのをすごく感じちゃう」
柴「それはまあ、そうですね」
上「最近さ。育児のことがちょくちょく話題になるじゃない? 男性も育児をするのが当たり前だって話」
柴「はい」
上「SNSで見かけるママの愚痴って、仕事から帰ってきた夫に手伝え! 疲れてんのはお前だけじゃねーんだぞ! ってのが多い気がしない?」
柴「まあ、たしかに」
上「言いたいのは、女性がやるのが当然って話でもないし、男性が仕事して女性が家にいるスタイルが当たり前って話でもなくさあ。男女は置いといて、子供の相手してようが外で仕事して来ようがどっちも大変だって話でさー」
柴「まあ、それはそのママさんが言ってる通りですよね」
上「どうしてどっちももっと苦労しよう、になっちゃうのかな。なんとかこの余分な苦労を無くそう、ってなれないのかな」
柴「と言うと?」
上「旦那さんは仕事で疲れて帰ってきて、家で休まないと厳しい。奥さんはずっと子供の相手して疲れてて、旦那さんがいる時だけでも子供から手を離したい」
柴「ふんふん」
上「よってここは旦那さんに子供を渡して奥さんが休む、が最適解に見えるけど、それだと旦那さんの休息が足りてない。というか、なんだかんだ奥さんもそのまま家事とかやって、意外と二人とも休めない」
柴「そうですね」
上「本当の最適解は、どっかの時間で子供を外に預けることだと思うのよね、例えばだけど」
柴「あー……まあ、そうですね?」
上「苦労を分散するのは大事だけど、無理があるラインを越えそうなら、苦労自体を減らす方向にシフトするべきだと思うのよ」
柴「理解はできますけど、だって、お金もかかりますし。他人に預ける親の心情もありますよ」
上「うん。だから、社会や、制度が悪いよね」
柴「おっいつもの無茶な結論」
上「いやまあこの件だけにモノ申したいわけじゃなくてさ。なんていうか、他人と一緒にいる時に、みんなで苦労を分散することしか考えない風潮がある気がしてさー。そりゃ最終的にはそうなるけど、まずは苦労そのモノを減らそうと動いてみるのが大事なんじゃないかなーって日頃から考えてたから、ちょっと言ってみたの」
柴「日頃からそんなこと考えて生きてるんですかアナタ」
上「仕事でもそう。残業めっちゃ大変な人がいて、その仕事もっとみんなで分散しよう! 俺もうちょいなんとかできるぜ! じゃなくて、人増やして一人辺りのそもそもの仕事量減らそうとか、内容見直して仕事自体を減らそうとかそっちに考えやらない? って毎回思っちゃってさー。社会がおかしい、仕組みがおかしいを、まずは変えようとしない?」
柴「逆なんじゃないですか。まずはできることから、破裂しそうな誰かを何とかするために苦労の分散から初めて、一時しのぎが出来てから根本原因を探るほう。まあ、結局根本原因のほうに手が回らず終わることが確かに多い気がするので、上崎さんの言うこともわかりますが」
上「あー。まあ、そうなのかも」
柴「ひどいまとめかもしれませんが、楽をしようぜ! って感じですかね」
上「いや、それであってると思うよ。楽な道探してこう! ところで何の話だっけ?」
柴「上手い会話?」
上「あっ。でもまあ、これ以上言えることないし。ぼっちちゃんさん、答えになってましたかね?」
柴「納得いかなかったらまた是非おたより送ってきてください。改めて、言える限りの答えを考えます」
上「中途半端に回答してまたおたよりを貰う、マッチポンプ?」
柴「人聞きの悪いこと言わない! はい今週もここまでですよ!」
上「聞いてくれてありがとうございました、おたより募集してます! それでは、ばいなーら!」
柴「ばいなーら!」
(ED)
(曲)「番組テーマソング(月のテンペスト)」
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