第十六回ふわふわラジオ(3)
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柴「さて」
上「うん」
柴「お便りが届いています」
上「おっ」
柴「PN『Fly away』さんから、ありがとうございます。『上崎さん、柴山さん。こんばんは!』」
二人「「こんばんは!」」
柴「『上崎さんがスッキリ! 好きだと伺ったのでおたよりを書きました』」
上「おー、Fly awayさんも同志か」
柴「同志て。『スッキリ! では最近、アーティストのオーディション企画を扱っていますよね』」
上「あー、NiziUとか、BE:FIRSTとかね」
柴「『私は最近、それに夢中です。スッキリ! は勿論、配信サイトやyoutubeでも彼ら彼女らの話題ばかりを見てしまいます』」
上「ふむふむ」
柴「『オーディションの様子、活動に向けた練習、JY ParkやSKY-HIの言葉、ファンによる感想や考察動画まで。いつまでも、いくらでも見れてしまいます』」
上「あー、びっくりするくらいなんでもあるもんねyoutube」
柴「『お二人はどんなアーティストが好きですか?』とのことです」
上「アーティスト、かあ」
柴「前にも言ったかもしれませんが、僕あんま歌手で曲選ばないんですよね。曲聞いて気に入ったら買う、の繰り返しです。なので、好きなアーティストとかはあんまり」
上「まーあたしもそんなに拘りないわね。嵐とかは歌が上手くて好きだったけど、毎回新曲追ってるほどじゃなかったしなー」
柴「Fly awayさんの言うNiziUとかは? スッキリ! で見てたんじゃないですか」
上「実はね、ほぼ見てないのよ。もちろんスッキリ! は好きだからはいってるのは知ってたけど……最近流行りのオーディション番組とかがマジで嫌いだからそれはいったらチャンネル変えちゃってたのよね」
柴「おお、嫌いとまで言いますか」
上「ん、いや、嫌いっていうか、あたしは見れない。別にやってんのまで批判するような、やるべきじゃないって嫌いではないけど、あたしが見るのは無理」
柴「それは何故?」
上「えー? 多分……嫉妬するからかなー」
柴「嫉妬とな」
上「うん。成功者を見るの、嫉妬しない? 自分が成功してれば他人の成功に興味なんて無いだろうし、自分の成功が遠ければ嫉妬しかしないでしょ。やるべきでないとは思わないけど、誰が見れるの? とは思う。実際人気なんだから見る人多いんだろうけどさ」
柴「まあ、僕もあまり見ないので、そう言われれば確かに……という感じではありますね。ただほら、オーディションって言うくらいですし、みんな成功者を見るのが目的なんじゃなくて、頑張ってる人を見るのが目的なんじゃないですか?」
上「それは自分の頑張る時間を削ってまで見るものなのかなと」
柴「受け取り方が面倒臭いな……」
上「いや、だからあたしの基準ね。あたしが異常なだけなんだろうなーとも思うし……結局あたしは、あたしのことしか考えてないからこういう考え方になるのよね」
柴「みんな自分のことが一番大事でしょう、という慰めで終わる話じゃなく?」
上「多分? 歌上手い人見ればあたしももっと上手くなりたいと思うし、大して上手くもないのに人気出てる人見ればあたしのほうが上手いのにって嫉妬する。お笑いも、ドラマとかも、あたしならどう演出するかばっかり考えて見てる。他人が頑張ってる姿を見ると、こんなことしてる暇あったらあたしも頑張らなきゃいけないって焦るし、実力にしてもストイックさとかにしても敵わないなって人は辛くなるから見れない。最終的にはあたしのことしか考えてない、って纏めれそうじゃない」
柴「職場で仕事できる人とか周りにいてなんか不快みたいな感覚でしょうかね」
上「他の人は分からないけど、あたしは仕事に興味が無いから仕事できる人に憧れない、のでそれは同一じゃないかな」
柴「うわとことんめんどくさ」
上「うーん、柴山さん小説読むの好きって言わなかったっけ」
柴「まあ、はい。ラノベとかネット小説とかが多いですけど」
上「寧ろそっちのが特徴的だと思うけど。出来の悪い主人公だとか、平凡な主人公とかに自分を重ねて見たりしない? 感情移入するというかさ。自分が冒険して、波乱万丈の展開を生きているような気分になったりしない?」
柴「恥ずかしながら、めっちゃしますね。一番わかりやすいのだと、前もちょっと出した恋愛ものの話ですか。主人公に感情移入しまくってるんで、主人公に好意を寄せてたヒロインが別の男とくっつくとすっごい寝取られた感じがするんですよ……そういう一体感ですよね?」
上「そう。やっぱ柴山さんも“こっち側”ね」
柴「なんですかそれ」
上「客観的に他人の人生を見て楽しんでるんじゃなくて、自分の分身として本を読むんでしょう? 自分にこそ、刺激的で幸せな人生を望んでるってことかなと。あたしもそうなのよ、他人の成功も、喜びも、どうでもいい。自分が成功できず、喜びもなく、ぼーっと見てるテレビの向こうで他人がそうなっていることにイラつきすらする。想像の余地が大きい本なら、文章なら、他人の成功ではなく成功の疑似体験であれる。そういうのしか受け付けない器の小さい人間の話よ」
柴「聞いてると僕らマジで嫌な奴ですね」
上「ボランティア精神の欠片も無いというか、こんなんだから仕事にも希望を持てないんでしょうけど」
柴「でもまあ、分かるところはあります。ラジオやってても、リスナーさんに楽しんでもらえるのはすごく嬉しいんですよ。けどこれって、最後に目指してるところはリスナーさんが楽しむところじゃなくて、それを見て感じて僕が嬉しくなるところ、なんですよね。だから逆が無い」
上「逆って?」
柴「リスナーさんが不快に思うことによって僕が辛くなることはあまり無いのでそっちに関してはどうでもいい」
上「言うねー」
柴「嫌になった人は聞かないでください。それを楽しんでくれる人がいるなら、僕はその人のためにだけ喋りますので。って」
上「まあでもそれはそうだよね。他人に危害を与えないのなら、何しても、何喋ってもいい。合わない人は離れていくし、合う人はきっと楽しんでくれる」
柴「実際には炎上も番組終了も怖いのである程度気を付けることにはなるんですけど、基本の精神はそれくらいでいたいですよね」
上「万人受けを狙って成功できるのはごく一部だからねー。で、何の話だっけ?」
柴「お気に入りのアーティストからの展開でしたが、二人ともいなかったのでもういいんじゃないですかね」
上「そーね、終わるか。おたより募集してまーす!」
柴「次回の放送は再来週になりますので、いつも以上のおたよりお待ちしております。それでは」
上「ばいなーら!」
(ED)
(曲)「番組テーマソング(AAA)」
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