第十七回ふわふわラジオ(2)
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上「有能か、無能かと言えばさ」
柴「はい」
上「そして臨機応変と言えばさ」
柴「はいはい?」
上「難しいことを、難しいままに言う人って無能寄りよね」
柴「あー」
上「具体的に言うと、説明ってのは聞く人に合わせた言葉を使ってこそよなーって。あたしはしょっちゅう思うわけよ」
柴「具体的に説明をしないと伝わらないような言い方をする我々も十分に無能寄りですけどねえ」
上「分かってるから言わなくていーわ!」
柴「でも確かに、特に自分とは立場が違う相手への話とか、使う言葉に気を付けないといけないですよねえ。身内で当たり前に使っていた言葉が実は専門用語でした、とか割とありますから」
上「身近なところだと、仕事で別部署と話してる時とかありがちよねー。取引先とは寧ろ積極的に専門用語を交わす仲だから、意外と同じ会社の別部署のが分かり合えないという」
柴「第n次営業・現場戦争ですね」
上「あと、政治家の国民に向けた小難しい説明とかね」
柴「結局政治の話になっているじゃないですか」
上「何がまずいってさ、分かる人はわかるってことよね。本業でも無いのに詳しい人ってのはどこの世界にもいるわけで。誤魔化すために難しい言葉使っても、そういう人には一発でばれる」
柴「そんで今はSNS等の発達もあって、一般の方発信の情報がよく広まりますからねえ。どーせみんなよくわかんないやろってクドく誤魔化したはずが、数人の有識者の解説によって世間にばれるってのが起こりやすいんじゃないでしょうか」
上「ただ、一方でSNSは本人が興味ない情報は入ってきにくいって面があるからねー。元々政治の話題に触れる気が無い人たちからすると対岸の話というか」
柴「そういう人はテレビでも、そういう話題になると変えちゃうでしょうしねえ」
上「そう考えると、興味ない人にも伝わるような言葉づかいで、分かりやすく物事を伝えられる人が、有能だってことになるのかな?」
柴「政治家としては、の話ですね。しかも、それだけじゃ当然駄目で仕事で成果を出せる人でもなきゃいけない……うーん大変なお仕事です」
上「まるで演技も歌も踊りもトークもこなす声優さん並みのマルチタレント!」
柴「出た、当番組お得意の声優トーク!」
上「いつの間にこんな番組になってしまったのやら」
柴「兎に角、臨機応変に、相手によって言葉や対応を変えられる人が有能って結論でいいんじゃないでしょうか」
上「相手によって対応が変わる、ってだけ聞くと滅茶苦茶嫌な奴だね」
柴「日本語って難しいなあ」
上「日本語が難しいというよりは、どう対応を変えるかによるというか、何を基準に変えるかによるというか。あー、ちょいと脱線するけども、日本には御恩と奉公って考え方があるじゃん?」
柴「日本史で出てきそうな言い回しですけど、要は受けた恩を返そうとか、お世話になったぶん恩返ししようって感じの話ですよね」
上「そうそう。あれ、悪い考え方だとまでは言えないけど、あたしは嫌いだなー」
柴「恩は仇で返すべき、と」
上「そういうこと言ってるんじゃないでしょ? そーいうのなんもなしに、フラットであるべきって話」
柴「だって、恩を受けたら返したくなりませんか?」
上「ありがとうって言えばいーじゃん」
柴「それじゃ足りなく感じちゃうっていうか」
上「まーそれ自体はある程度自然な思考だとは思うんだけどさー。恩を受けることと、お返しがさ、セットになっちゃうのがよくないじゃんか、まず」
柴「まあ、最近話題の忖度ってやつとかも、そういうとこから発生するんでしょうしねえ」
上「そう! 何かをしてあげることは、見返りを求めたものであっちゃいけないはずなんだよ本来は。それが愛ってものなんだよ! 見返りを期待した助力・プレゼントは取引なんだよ、取引なら見返りも事前にはっきりさせとけってんだ」
柴「お礼禁止にしろ! って言うより、貸し・借りってのを無しにしろって話ですね?」
上「そう。いや、気の知れた仲で、お礼にもらうものを決めておく時間も取れなくて、しゃーない貸しイチな! ってやり取り自体は悪くないと思うんだけどさー。前にも言ったことあったっけ? 暗黙の了解とか、明文化されないマナーっていう、そういう流れが出来ちゃうこと自体よくないとあたしは思うんだよね」
柴「何事もどんなことも、使い方ではあるんですけどね。大きなお礼は求めないから、今度俺になんかあった時助けてくれよな。って感じのかっこいい気遣いも、〇〇君あの時ワタシ手を貸したよね? 覚えてるんだったらさ、分かるよね? も同じ貸し・借り、御恩と奉公案件だと考えると、たしかにその文化自体無くしてしまった方がよくねって思いはします」
上「あとは、プライベート限定にするとかね。仕事ではあくまで規則上の堅苦しいやり方であるべきというかさ」
柴「する、あるべきというより、現状でもルール上は貸し借り的なの駄目だと思いますよ? 仕事では。無視してる人があまりにも多いだけかと」
上「なんか話してる自分でもよくわかんなくなってきたけど、要はさ。仕事を情でやるなや! ってことだね多分」
柴「義理も人情も、仕事上はクソ邪魔ですよねえ。それを重視する老害も邪魔」
上「おおー、強い言葉を使うね?」
柴「年功序列社会の中だとかなりいるんですよねー未だに」
上「人脈で仕事してるぜ! っていう人ね」
柴「なんか以前にもこういう話したような」
上「我々の嫌いが噴出している」
柴「逆に、現場にあまりにも即していないルールもあったりしますよね」
上「あるある。臨機応変さを発揮すると全部ルール違反になる組織ね。変えろや、って思うけど面倒くさがる経営陣」
柴「なんか、生きるのって大変ですねえ」
上「そうだね。ところで何の話だっけ?」
柴「どんな人が有能なのかな、って話でした」
上「こうやって話が脱線しまくる人は雑談シーン以外では無能ですんで気を付けてくださいねミスター・プレジデント! 現場からは以上です!」
(CM)
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