ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第十七回ふわふわラジオ(3)

 

「さーて! なんか明るい話題でもないかな!?」

「十分明るい話題だったじゃないですか今週も」

「愚痴ばっかの有能トークで自分たちの無能さを再認識したこれまでのどこに明るさがあったと?」

「しょうがないですねえ」

「あたしが! 我儘みたいに! 言うなや!」

「では、PN『散財マー』さんからのおたよりでも読んでいきますか」

「散財マン?」

「散財マー」

「マーって何?」

「さあ?」

「ふーん。明るい話題なんでしょーね」

「明るいって言うか、面白い話にはなるんじゃないですかね? えー、『上崎さん、柴山さん。こんばんは』」

 

二人「「こんばんはー」」

 

「『しがないサラリーマンである私、散財マーの趣味は……実は! なんと! 散財なんですがー』」

「だろうね。名前聞いた瞬間から分かってたけどね」

「『高給取りとはとても言えない現状ですので、思うような散財ができずストレスが溜まってしまいがちです』」

「あー、ストレス発散に散在する人って、散財できないとストレスも発散ささらないのか……そうなのか?」

「『仕方が無いので、現実では本当に欲しいものにだけお金を使い、オンラインゲーム上での散財を定期的にすることで欲求を満たしているような感じです』」

「それでいいのか。まじで金使うこと自体が目的というか、楽しみなのね」

「『お二人はどんな物にお金を使うことが多いですか? 何を買ったときに幸せな気持ちになりますか?』ですって。ありがとうございます」

「ございますー。うーん……柴山さんはゲームだよね?」

「ゲームですね。別に金使うことに楽しみを乱しているわけじゃありませんので、普通にお金を使っていますね。別の言い方としては、課金と言われることもありますね」

「そうとしか言わないんじゃねーかな。因みに、どれくらい?」

「どれくらい、とは」

「いやその、課金額というか」

「ふっ。そんなもの、いちいち覚えちゃいませんよ。欲しいものがあれば金をかける、それだけです」

「自己管理が出来てなさすぎる」

「いや実は、一度簡単に計算したことがあるんですけどね。怖くなって考えるのをやめました」

「怖くなったんなら金かけるのをやめた方がいいんじゃないかな! てかどちらにしろ改まって計算するまで気付かなかったんだね!」

「いやあ、僕の場合は複数のゲームを掛け持ちして、それぞれに少しずつかけていましたからね。一つ一つのタイトルにかけた額だけで言えば微課金、微量の課金と言われる程度の物だったんですけど、それを10個くらいやってると……ははは」

「はははて」

「ついでに、ここまでの話は全部ソシャゲに関した話であって、他にも普通にPCのゲームとか、スイッチプレステなんかも買いますからねえ。給料から生活費引いたら残りは大体ゲームにかけてると言えるかもしれません」

「分かっちゃいたけどやべーなあこの人」

「そういう上崎さんは何に使ってるんですか? 趣味が多いのは知っていますけど」

「うーん、なんだろう。ゲームは買うけど課金はほとんどしないし、本や漫画、月額制のアプリとか」

「出てくる単語だけ拾うとやっぱ完全にオタク気質ですねえ。女性に対する勝手なイメージですけど、服とかカバンとか買ったりもするんでしょうか?」

「そりゃ買うけどさ。別にブランド物大好きってわけでもないしなー。春夏秋冬三パターンずつくらいあれば生きていけるわよ、仕事だって制服だし」

「豪快だなあ」

「あ、わかった。食費だわ、あたしの場合」

「食費ですか?」

「そう。食べ物に関しては、あたしも柴山さん並みにやばいかもしれない。あんまり金額気にしないってーか、食べたい! 注文! ってしてから金額確認することも多いかな」

「注文、っていうと外食ですか」

「うん。自分で作ることあんまりない。全くできないわけじゃないと思ってるけど、そんなに凝って作るほどでもないからねー。基本プロの作ったもののほうが美味いに決まってるじゃんね」

「まあ、多くの人において自分でご飯作るのは、自炊だと食費が抑えられるって理由が大きいでしょうからね。そこを気にせずがんがん食べちゃうと?」

「美味しいもの食べるために仕事してるとこはある。てかさ、食事の回数って限りがあるわけよ」

「はい?」

「太り過ぎないように、健康に気を付けたうえで食事できる回数って、一日にたった三回しかないのよね。んで、仕事してて朝は時間が無い、昼も限られた時間の中で食べなきゃいけないと考えると、何も気にすることなく食べたいものを食べられる機会って全然多くないわけよ。そんな貴重な、食事のできるタイミングで、お金のことを気にして食べたいものを食べないなんて実に愚かしいことだと思わない? あたしは思う!」

「うーん、言われてみると確かに」

「でしょう! だからあたしは金を使う! 金を生贄に捧げて美味いもんを召喚する! まーでも高ければいいってものでもないから、食べたいもんかどうかが一番大事なんだけどね」

「お金を惜しんでいないってことですよね」

「そそ。それこそ日によっては自分でちゃちゃっと用意するわよ。お味噌汁とカレーだけは、定期的に家庭の味が欲しくなるのよね」

「カレーはなんというか、味が広いですからねえ。母の作った、自分が育ててもらったあの味には、なかなか外ではありつけなかったりします」

「勿論隠し味に凝ってたり、スパイスの配合に工夫しまくってたりの店カレーが食べたい時もあるんだけどね。市販のルーの味全開の家カレーが食べたい時にそっちで代用はできないのよね」

「うちはバーモント派だったのでかなり甘いというか、かれくないカレーの気分になりますね」

「うちはバーモントの辛口とジャワの中辛を1:1。もう一生ハウスから逃れられないわ」

「なんかお腹減ってきた……帰りになんか食べて、ああでももう家カレーの口になってしまった! 流石に帰ってから作るのはなあ!」

「ふはは、明日が休みでよかったわね。晩御飯の調理時間がゆっくりとれるではないか」

「僕も普段は買い食いばかりなので、たまーに自分で作るとすっごい時間かかっちゃうんですよね。でもしょうがない、材料買って帰りますわ」

「まあこんな感じです! あたしはご飯、柴山さんはゲームにお金をかけがちだし、金を払って幸せを得ているぜと。散財マーさん、これからも幸せを買うためにお仕事頑張りましょーね! 一緒に!」

「なんかこう纏められると僕だけすごい嫌な感じですね。もうちょい使い道考えます……」

「柴山さんが改心したところで今週はお時間です」

「改心て。えー、次回の放送は再来週、おたよりお待ちしています」

「よろしくおねがいします! それでは皆さん、ばいなーら!」

 

(ED)

(曲)「番組テーマソング(DJみそしるとMCごはん)」

 

 

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