ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第九回ふわふわラジオ(1)

 

(SE)『ふわふわ〜ラジオ〜!』

 

「こんばんはー。上崎茜(CV.近藤玲奈)でーす。『ふわふわラジオ』でーすよー」

「柴山蒼汰です。どうしたんですか? 上崎さん」

「なーにがでーすかー」

「なんかこう、ダウナー系というか。なんかあったんですか?」

「いやさー、ここ数日、天気悪くない? 気分もくらーい」

「ああ、成程。でもほら、考えてみてくださいよ? きっとリスナーの皆さんも気分がくらーい感じじゃないですか。それをね、元気づけてあげるのがね、我々ラジオマンの役目ではないですか」

「意識高いなー柴山さんは。とは言え、まー……そうね。頑張るか、第九回! やっていくぞー、おー!」

 

(SE)『ふわふわ〜ラジオ〜!』

(CM)

(曲)「あいつら全員同窓会(ずっと真夜中でいいのに。)」

 

「凹んだ」

「なんで? ずとまよ嫌いでしたっけ」

「まっさかー。寧ろ好きで、この曲ももう聞いてたんだけどさー? なんてーか、あたしらのラジオでやってるのって、まさに歌われてる通りの他人の人生に口出してる感じじゃない?」

「そうですかね。あ、ぶっ刺さった?」

「あたしのやってることって、一体……みたいな。報道とか一切やってない、駄弁りラジオだけの人間だから尚更ね」

「まあでも、ラジオで喋ってるだけの人生もそれはそれで私たちだけの素敵な生き方だって受け止め方してもいいんじゃないですか」

「そかな」

「プラスで、ちょっと個人的な話してもいいですか」

「どーぞ。いつもしてるけどね、お互い」

「まあそうですけど。僕はこのラジオでした主張、意見を誰かに受け止めてほしいとか、誰かの考え方に影響を与えたいとは欠片も思ってないですよ」

「まー、あたしもそう意識してたことはないけどさ。はっきりと何のためにやってる、って言える感じ?」

「色んな人の意見や考えを聞いて、私の意見や考えを聞いてもらって。意見交換会みたいな感じですかね」

「うーん、分かる気はするけど、それは考え方に影響を与えたいとはどう違うの」

「ちょっと違うとは思ってますよ。説得というか、考え方を変えたいという気が無いから。物事で一番大事なことは、一番がいっぱいありそうですけどまあ、豊富な知識ってのがあると思うんです」

「あー、昔なんか似たような話しなかったっけ。なんか、Google先生に甘やかされて考え方が偏っていくって話」

「しましたね。上崎さん、2カ月くらい前を昔って言う人なんですね。へー」

「は? 喧嘩売ってる?」

「いいえ。でもこういう、何気ないことでいいんですけど。昔って言葉の感覚も違う、ってことは、他の色んな感覚も違う筈なんですよね。そういう、他の人の感覚を、知れる場所であればいいかなーって思ってます。何より僕が楽しい」

「知って、納得するのがゴールってこと?」

「納得もいらないですね。いや、するも自由、しないも自由みたいな話ですけど。知るのがゴール。だって、楽しくないですか? 自分と全然違う考え方の人の話って、聞いてるだけで」

「まあうん、分かるよ。でもあんまり意見が違うとあたしは反論したくなっちゃうかもなー」

「それは別にいいと思いますよ。ただ、そこで終わり。その反論に相手が納得できなくても、なんで分かんないかなーとかなっちゃうと、それこそ他人への口出しですから。双方が主張し合いました! 成程、あなたはそう思うんですね! そこで対戦ありがとうございましたでいいと思っています」

「そういえば、これ『ふわふわラジオ』だもんね。ふわふわな知識でふわふわな話をしたら、結論もふわふわでいい。みんなで一つの答えを出さなくていい……会議じゃないもんね。ここでした話を聞いて、やっぱり私の考え方がいっちばーん! って思ったらそれはそれでいいんだろーね」

「自由ってそういうことなんでしょうからね。そのスタンスでいる限りは、他人への口出しばっかしてるような嫌な人間にはならずに済むんじゃないでしょうか」

「うむ、ありがとう柴山さん。あたしの悩みは大体解消されたよ」

「それはよかった」

「こうして、柴山さんの考え方に納得するのも自由。そういう場所なんだよね?」

「勿論ですよ自分の心を自分で決めれば、それでいいと思います」

「しかし柴山さんや。その考え方でいくと、こう、もっと色んな人の意見を聞きたいんじゃないかね?」

「と、言うと?」

「おたよりあんまり集まってない現状に一言」

「悲しい!(超大声)」

「うわあ、ハウったよ。大声出しすぎ。でもやっぱりそーだよね」

「現状くれてる皆さんには大感謝してますけどね。てことでここでおたより紹介いきます」

「ちゃんと忘れなかったね、偉い」

「上崎さんが長めの話題ぶち込んできたから遅くなりましたけどね。えー、今日は、PN『二次会幹事』さんからのリクエスト曲でした」

「同窓会行ってんのかよ!」

「『上崎さん、柴山さん、飲んでる~?』」

「ノリが二次会中盤なんだよな」

「『今回リクエストした曲は、気持ちのいいテンポ感に惹かれて聞いたら歌詞に殴られた曲です。でもね、私も、同窓会で騒いでるだけのちっぽけな自分が嫌いじゃない。それもまたいいんだなって、勝手にですけど、思ってます』だそうです」

「えっなんか、そういう感想もあるんだ。リクエストありがとうございました」

「面白いでしょ? 色んな考え方」

「そうね。これまでは、あたし達二人が考え方近いから話がいい感じに弾んで終わってたけど、逆に全然納得いかないまま終わったと思ってる人もいたのかも」

「そっちの人の意見とかも聞く機会があるといいですね。うーん、今までに出た話題だと……タバコミュニケーション重視の人とか?」

「あたしと違うタイプと言えば、仕事が楽しくてその為に生きてる! って人とかかな」

「僕だとなんでしょう。グループ旅行大好き芸人とかですかね」

「なんで芸人?」

「語呂がよかったので」

「まあそもそもが、対立意見を意識しての発言だったわけじゃないから、ぱっと言われても出てこないけどね」

「色んな人の話を、少しでも多く聞いてみたいので。皆さん、おたより待ってます」

「よろしくお願いしまーす」

 

(CM)

 

 

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