ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第十五回ふわふわラジオ(2)

 

「恋愛の話、難しすぎるから辞めたいんだけど」

「まあ、僕はいいですけど。僕ばっかり語ってしまったので、リスナーは上崎さんの話も聞きたいんじゃないですかね」

「えー……うーん、何回か男性と付き合ったことはあるんだけどさー」

「はい」

「なんて言うんだろう。最初はまー、割とかっこいいし、優しかったり頼もしかったりで付き合うんだけどね。付き合ってるうちにどんどん嫌なところを発見していっちゃうっていうかさー」

「減点方式の恋愛タイプなんですね」

「そういうタイプ区分あんの?」

「まあ、多分」

「参考にならねーなあ……兎に角、まあでもそんな極端に嫌いになることはあんまりないわよ? あたし、見る目はあるつもりだし、付き合う前にどういう人かなんとなくは分かってOKしてるつもりだしね。でもまあそもそもが多分、誰かと生きるのに向いてないのよねー」

「あー分かる」

「今何を分かったおい? 自分もそういうタイプなのかあたしの協調性の無さに納得したのかどっち?」

「まあまあ。いいから続き聞かせてくださいよ」

「釈然としないなー。まーその、誰かと一緒に休日とか過ごすようになるほど自分一人の時間の心地よさに気づくというか」

「はいはい」

「学生の頃なんか、彼氏と一緒に帰るものみたいな暗黙の了解があってさ。それまではその日の気分で色んな友達と遊びながら帰ってたのに、なんか、毎日窮屈だなーって……あたしだって人並みに、その、いい雰囲気みたいな? のに憧れはあったけど。毎日欲しいわけじゃないんだわ」

「すげえ頷きながら今僕聞いてますけど、いざ付き合うと僕も毎日一緒に型男性になっちゃうんですよね。恋は人を狂わせるというしやはり僕は恋をしていた……?」

「独占欲も性欲も人を狂わせるからやっぱり不明だよやったね柴山さん。そんなわけで、多分二桁は付き合ったことあるけど、長続きすることも深い関係になることも無かったなあ」

「成る程。つまり今日のトークの中では、恋愛感情とはなんぞや? の答えは出ないわけですね」

「寧ろあたし達の会話で答えが判明したことあった?」

「言われれば、うーん」

「勿論色々違う部分もあるけど、根本的にあたしら似過ぎてるから会話しててもループしまくりになるからね。第三者の意見が無いと纏まりようがねーわ」

「たしかに」

「そんなわけで恋愛以外の話しよーぜ。おたよりとか来てないの?」

「それが、こんなところに曲リクエストのお手紙が」

「また忘れるところだったんじゃん危な」

「PN『LRS』さんからのリクエストでした、ありがとうございます」

「なんて?」

「ありがとうございます?」

ペンネームの方だわ」

「エル、アール、エス。全部アルファベットですね、多分単語とかではないと思うんですが」

「ふうん? まー、ありがとうございます」

「じゃあ読みますね。『上崎さん、柴山さん。笑えばいいと思うよ!』」

「いつもニコニコ笑顔です♪」

「くくっ」

「何」

「いえ。『こんばんは、LRS過激派です。LRKとかなんなの? 本編にそんな素振り今までありました?』」

「この人は何を言っているの?」

「僕にもさっぱり。『ケンアスもそうだよ! LRS過激派だからと言ってアスカはどうでもいいというわけじゃないんだよ! その辺制作陣分かってるんですかね!?』」

「解説してよ」

「いやだから分かんないですって。でも、うーん……多分エヴァの話題でしょ? ケンアス……ケンアス?」

「えっ、もしかして、アスカって、この人ずっとエヴァカップリングの話してる? ペンネームから、よく分かんないアルファベットもずっと?」

「イマイチ理解できてませんが、多分、そういうことですよね」

「恋愛の話からはなれてねーじゃんか!」

「あはは……『仕方が無いので私は二次創作に消えます。CP展開は兎も角、映像も演出も音楽も全てが素晴らしい映画でした。曲に罪は無いので毎日聞いていますし皆さんも聞いてください』だそうです」

「罪」

「流石、過激派は言葉がもう過激ですねえ」

「最近さー」

「オッ強引な話題転換」

「うっさい、このまままた恋愛トークに引きずりこまれてたまるか。最近、アニメ映画だとかテレビでも、一般に有名なアーティストが歌うこと多くなったわよね」

「その話前にもしませんでした?」

「そうだっけ?」

「アニソンと一般的なJ-POPの垣根あんま無いですよねって」

「マジか。普段から考えすぎてて繰り返しちゃったか」

「どちらかというと、僕らが言う『一般の』って呼称のほうが、いつの間にか異質になっている気がしますね」

「まー、そうかも。でもさ、他の言い方なくない? アニメの曲もJ-POPだと含んじゃうんでしょ、じゃあドラマの曲は? CMの曲は?」

「ドラ、ソン……? CMはCMソングって売り出しますよね」

「CDが発売になった時入ってる他の曲は?」

「あ、うーん」

「CMと言えば、昔に比べてアニメーションのCM増えたわよね」

「話題の転換があまりにも早い」

「昔は商品CMと言えば有名芸能人だったし、それを結び付けて覚えてたもんだけど、最近は……あのほら、『ブルーピリオド』のCM、知らない?」

アルフォートですよね、チョコの」

「そう! あれあたしみたいに『ブルーピリオドのCM』ってしか覚えてない人多そうだけどいいのかなー。購買に繋がってんのかな?」

「分からないですけど、チョコ系は結構アニメ系との関わり積極的ですよね。僕もクリアーファイル貰うために何十個と買ってます」

「あー、あれもチョコだっけ。まあ、多くの人に刺さらなくても、コラボした作品のファンとかが買いまくるのかな? 結局個数売れれば何人で買ったって関係ないもんね、うん」

「握手券封入してCD何枚も買わせるアイドルみたいなこと言いますね」

「そう聞くと駄目な気がしてきたな」

「まあ実際は、今までの購買層と違ったところへのアプローチって感じですかね? 多分CMが何に変わろうと古参のおファンは買い続けますから、さらに顧客層を広げていくべしという」

「あー、成程ね。そういうことかー」

 

(CM)

 

 

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