ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第十三回ふわふわラジオ(1)

 

 

(SE)『ふわふわ〜ラジオ〜!』 

 

「こんばんは! 決めるぜ必殺ウインク二連! 『ふわふわラジオ』の顔、上崎茜(CV.照井春佳)です!」 

「必殺しちゃった。どうも、顔以外の本体部分担当、柴山蒼汰です」 

「あたしのことを顔だけの女みたいに!」 

「そこまで言ってないし自分で顔って言ったんじゃないですか」 

「いやでも実際そうでは? 来るおたより全部『上崎さん、柴山さん』って必ずあたしから挨拶入るじゃん」 

「地味に気にしてるところを!」 

「かーんぜーんろーんぱー。さて第13回です、レリゴー!」 

 

(SE)『ふわふわ〜ラジオ〜!』 

(CM) 

(曲)「明日の記憶(嵐)」 

 

「わ、懐かしい曲」 

「嵐自体が懐かしい枠に入りかけていますからねえ」 

「なんだっけ、あの、すごい面白かった記憶はあるんだけど絶妙に内容が思い出せないドラマの曲だよね」 

「あなた本当失礼なことしか言いませんね。まあ、さて、本日のおたよりはPN『通常魔法』さんからのリクエストです」 

「魔法? ……あ、『大嵐』?」 

遊戯王ネタですね」 

「いや、分かり辛いわ」 

「では読みます。『上崎さん、柴山さん。こんばんは』」 

 

二人「「こんばんはー」」 

 

「くそう!」 

「ふふん、やはりあたしが先だったな」 

「別に、先だからどうとかないですし……ちくしょう。さて、えー、『嵐の明日の記憶をリクエストします。ドラマ、ザ・クイズショウ第2シーズンの主題歌です』」 

「そうそう、そんな名前だった! って、第2シーズン?」 

「第1シーズンもあったんですねあの番組、僕も知りませんでした。『割と前の作品ですし、社会現象を起こしたようなドラマではないですが、各話につき一人のゲストと主人公達だけで繰り広げられる物語というのがとても魅力的に感じたのを覚えています。是非見てみてください』だそうです、ありがとうございます」 

「見ましたよー、あんま覚えてないだけで」 

「だから、言い方」 

「でも確かあれだよね。クイズの回答者の、なんか、隠したがっている秘密を番組を通して暴いていって、反省させたり、改心させたりする番組じゃなかったっけか」 

「ざっくり言うと、まあそうですね」 

「懐かしいなあ。多分、10年以上前じゃない? これ見た時あたし、まだ中学生とかだったと思うのよ。妙に不気味というか、そんな雰囲気が印象に残ってるな」 

「クイズ番組っていう、舞台がよかったですよね。最近よくやってるチーム戦みたいなわちゃわちゃしたものじゃなくて、ミリオネアみたいな一対一のクイズ。黙り込んだゲスト、静けさが支配した空間に、主人公役の櫻井くんの笑い声だけが響く。みたいな」 

「演出ってすごいなあと思ったわね。まあ、当時はそんなこと考えずに、ただ雰囲気で見てたけど」 

「大事ですよね、演出」 

「おっ、何、演出の話?」 

「いやね、先日上崎さんと、お笑い番組の話をしたじゃないですか。……なんででしたっけ?」 

「え、した? 待って思い出す……あー、なんか、なんでyoutubeじゃなくてテレビを見るのかみたいな話だった気がする」 

「ああ、そうだそうだ。それで、賞レースってあんまり好きじゃないって言ってたじゃないですか? 僕逆で、結構賞レースとかも見るんですよ」 

「へー」 

「でもその、失礼ですけど、あんま面白くない人って結構多いんですよ」 

「失礼だね。でもまあ割と同意なのでへー」 

「まあ勿論好みによるところが大きいんですけどね。それで、考えてたんです。演出、雰囲気を作ることって、大事だなあって」 

「雰囲気?」 

「なんでしょうね。おんなじこと言ってるのに……って言うとこれも失礼ですけど、面白い人、面白くない人っているじゃないですか。いや、人にもよらないですよね。がっちがちに緊張しながら用意したように出す発言と、なんか好感情が昂ってつい出たんだろうなって感じで出る発言と。おんなじこと言ってても、受け止め方が違うというか」 

「あー、わかる。例えばあたし、フリップ芸ってのがあんまり好きじゃないんだけどさ」 

「因みにそれは何故?」 

「絵で笑わせようとしてくる感じが嫌なのかな? 別にそれも立派なお笑いだけど、それ絵がありゃいいじゃんみたいな。けどあの、早口言葉みたいなの言うピン芸人、わかる? あの人のなんかは好きなのよね」 

「大谷健太さんですね。最近よくテレビで見ます」 

「あのネタは、フリップと絵は『演出』なんだよね。どんな早口言葉が出てくるんだろう? って、わくわくさせてくれる道具。しかも絵から想像できるようでいて、ほんのちょっと思ってた以上のものが出てくる。期待させて、期待を上に裏切って、んでそれが面白い。これがフリップ芸か! って感動すらあったよね」 

「僕もこの人結構好きですよ。でも、実は、R-1で初めて見た時一個も笑えなかったんですよね」 

「まじ?」 

「ええ、でも他のバラエティとかで見るようになってから、ゲラゲラ笑ってます」 

「それが雰囲気なのかな? 賞レース特有の空気で緊張してたとか……というか結局賞レースが駄目なんじゃん」 

「確かに。見るのやめようかな」 

「注意! 当番組は、特定の芸人・番組を非難する意図があるものではございません!」 

「それ言っとかないとですね」 

「因みに好きな芸人さんは?」 

「若い方だと、インディアンスってコンビが好きなんですよね。ボケの方が兎に角喋る。え、なんて? ってなるくらい早口で、聞き取ろうと前のめりになってっていつの間にか引き込まれてるんですよね」 

「あたしも見たことある! 『22/7計算中』でアイドルと漫才やってた人達だよね 

「おお、さすが広く浅く趣味を楽しむ上崎さん、守備範囲が広い。ああいう、本人の個性や雰囲気でゴリ押すお笑いってあまり好きじゃないんですけど、あくまで基本的にって話で。面白い人は面白いんですよね……ティモンディとかもそんな感じか」 

「納言もいいよね。薄幸さんの、いかにもやさぐれてます! って雰囲気からやさぐれワード出てきても、普通、ギャップも何も無くて面白くないはずなのよね。でもあそこまでぴったり合ってると、そういう『普通』を飛び越えていくというか」 

「いいですよね、ネタも笑いどころがわかりやすいですし。さて、CMです」 

 

(CM) 

 

 

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