ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第六回ふわふわラジオ(3)

 

柴「天職のスカウトを無慈悲に蹴る女、上崎さんと一緒にお送りしております」

上「当たりが強い」

柴「せっかく誘ったのにー」

上「いやまあ本職の人にそう言って貰えるのは嬉しいけどね。今ラジオを楽しめてるのは、あたしがお客さん枠だからだって自覚してるし、仕事にするのはちょっとなあ」

柴「あー、なんとなくわかったけどラジオ的に一応聞いておこう、どういうことですか?」

上「こんなに萎える前振りある? いや、今あたしがこのラジオでやってるのはこの収録と事前ミーティングがほぼ全てなんですよね。でも社員であるところの柴山さんは違うんでしょ?」

柴「うーんまあ、でも僕はこの番組では多いほうですけど。番組プロデューサー、元、の彼と知り合いだったので、企画からちょっと関わったり会議に出たり。でも取材が発生しない謎の番組ですからねえ」

上「そうそれ、取材ね。あたし取材は無理だなーって。だってラジオ局って、結構大きい組織でしょ?」

柴「うちはそんなでもないですけどね」

上「組織の中で仕事をするってことは、自分の意に沿わないことが発生したりもするってことで。それが法に触れたりしなければ、あたしはそれをしなきゃいけない。お金貰ってるわけだからね。趣味の延長でそれをやると、あたしはもうその趣味を楽しめると思えないから、仕事にはしないよ」

柴「まあでも実際、そう言ってたけど割と楽しんでる人もいますよ?」

上「話すことが好きな人はそうかもだけど、あたしが好きなのは好き勝手話すことだから」

柴「好き勝手、ってワードが出てくると勝てませんね」

上「ふふん、でしょう」

柴「どや顔するところではないですけどね」

上「で、何の話だっけ」

柴「趣味がいっぱいあるナイトプールさんの時間が足りないっておたよりですかね」

上「成程。いいかねナイトプールさん!」

柴「はい」

上「はいじゃないが」

柴「いや返事する人いなかったんで」

上「まあいいや。ナイトプールさん、時間は! 割とみんな! 足りない!」

柴「身も蓋もないですね」

上「多分趣味が一つしかなくても足りない! なにしろ大体の趣味はエンドコンテンツだから! ゲームも、スポーツも、対人関係も! やりこみ要素が満載だから!」

柴「まさに人生」

上「だから、大事なのは常に! 何を、どこで妥協するか! 何を得るために何を諦めるか! 喪失感を満足感がどれだけ上回れるかなんですよ!」

柴「人生みたいですね」

上「その為のアプローチとして、あたしみたいなやり方もあれば、柴山さんみたいなやり方もあります! あなただけの方法を見つけて頑張ってくださいね!」

柴「人生経験豊富な人にもアドバイスを貰えるかもですね」

上「いやさっきから何その、ツッコミ? 茶々? 拾いたくなかったんだけど」

柴「えー」

上「まあなんていうか、こんな感じの結論でどうですかね!」

柴「参考になりましたかね? そうだといいですけど」

上「さて」

柴「はい」

上「次のおたよりとかは?」

柴「時間微妙なんでエンディング行きますか」

上「いやこっからじゃ流石にもたないでしょ」

柴「そうですかね? あ、エンディングと言えば。テーマソングどうでしたか」

上「あー先週、そういえばコブクロだったね。あたし、人生初の買った、買ってもらったCDがコブクロの5296だったんだよね」

柴「へえ! で5296ってなんですか?」

上「アルバムのタイトル。5296(コブクロ)だからじゃない?」

柴「あー、成程」

上「幾つだっけなー、小学生だとは思うんだけど。テレビ番組で『蕾』を聞いて、しょっちゅう歌ってたらさ。あたしの叔母さんもコブクロ好きで、趣味があって嬉しいからって買ってくれたのよ。ずっと聞いてたし、なんなら今も歌えるんじゃないかな殆ど」

柴「幼いころって、覚えますし、今でも結構覚えてますよねえ」

上「歌詞も全部覚えてね、懐かしいなあ。なんか2人とも最近色々あるけど今でも好きだよコブクロ

柴「人間性と作る作品の評価は比例しませんからねえ」

上「勝手に人間性貶めないでくれます? あとあたしは関係してる派だから。でも反比例……も違うな、なんていうか、社会性ない人ほど優れた創作者のイメージ」

柴「今僕以上に貶しませんでした?」

上「気のせいだよ。さっきさ、ナイトプールさんのおたよりの時、妥協の話をしたじゃん?」

柴「ついさっきですね。人間みな時間足りないから妥協ポイントを探そうなって」

上「でもその妥協が上手くできなくて、自分の理想を追い求め続けて、ぎりぎりまで粘る人こそが創作者としては偉大じゃない? あるいはスポーツマンとかもそうなのかもしれないけど。社会的には、多くの人間と仲良くしていく、仕事の付き合いをしていく、或いは家庭内でも、そういう意味では超不適合者……そういう人ほど、一つのことを極める上では強いって気がするんだよね」

柴「あー……時間ない時につっこむ話ではないですけど、最近中国が強いじゃないですか、国際的に」

上「大丈夫? その話すぐ終わる?」

柴「頑張ります。あの国のやり方って、結構我々日本人から見るとこう、非人道的とまで言っちゃうとあれですけど。全体のため、国のために自由や人権に制限がかかることもあるほどの。今の日本の風潮的には正反対に近い感じですよね」

上「まあ、そうね」

柴「けど、成果を出すという一点においては、技術力や国力の発展においては。そっちのほうがはるかに強い、と、思います。それは効率の問題で」

上「まあ当然だよね。日本のやり方は多数派が勝つものだから、それが最善か、最高効率かは関係が無い。最近は色々と怪しいけど」

柴「プラスで少数派にも気遣おうという風潮があるから、どこかに一点集中で力を入れることができない。ゲームでもそうですけど、万能型より特化型のほうが強いんですよね」

上「まあ、だからどっちがいいとはならないんだけどね」

柴「はい。人間として、一人一人が幸せになれるのはこっちのやり方でしょうしね。この話を出したのは、『優しく善性が強い優れた人間が、必ずしも最高の物を作り出せるとは限らない』って話の発展ですね」

上「ある意味盛大な脱線っぽくもあるけどね」

柴「ふわふわした知識で語るのはこの辺が限界ですし、ちょくちょく差し込んでいきたいですね政治系の話」

上「こわ。そんなこんな話してるうちにそろそろお時間です」

柴「やっぱりもったじゃないですか」

上「これエンディングって言えるのかな? さて、おたより待ってまーす! 切実に!」

柴「皆さんよろしくお願いします」

上「さてさて、じゃあ皆さん今月もがんばっていきましょーね! ばいなーら!」

 

 

(ED)

(曲)「番組テーマソング(Aimer)」

 

 

phonicgain.hatenablog.com

  ※番組のトップページはこちら