ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第十回ふわふわラジオ(2)

 

「10回記念だというのにゲームの話ばかりしてしまった」

「いいじゃないですか。そういうおたよりだったんですし」

「おたよりを選べない状態の明確な弊害だなー」

「そもそもこの番組アニメやゲームの話ばっかしてますからね、MC二人ともそういう人間だししょうがないでしょう」

「まあ、そうなんだけどね」

「では今度は何のトークをしましょうか?」

「このままおたよりを読もうよ。あるんでしょ?」

「どんな話題が出ても知らないですからね」

「そんなヤバいラインナップなの?」

「いや僕まだ見てないので分からないですけど、そんな感じ、ありますよね。さて、ぐーるぐる」

「(待ち)」

「これだっ! はい、PN『四ツ谷サイダー』さんからのおたよりです」

「よくあるもじりかただ」

「人様のPNになんてこと言うんですか」

「いや、いいと思うんだよ私は。凝りすぎてて読めねーよってPNよりずっとよくない? あたしは好き」

「凝りすぎてて読めない……今まで来たおたよりの中だと誰になりますか?」

「えーっとね。って、それこそ何言わせよーとしてんのよ。リスナーの皆さんのことじゃないですよ? 上崎茜はリスナーの皆さんのペンネームが大好きです、だからもっとおたよりくれ」

「素晴らしい、危機回避からの流れるような宣伝とは。」

「いいから早よ読んでよ」

「はい。『上崎さん、柴山さん。こんばんは』」

 

二人「「こんばんはー」」

 

「『お二人に意見を伺いたくておたよりを書きました』」

「よっしゃーどんとこい! どんな質問にも答えちゃうよ!」

「『夫婦別姓を認めてくれない日本政府に対してお二人はどう思いますか?』」

「ドンッ!」

「なんの音ですか?」

「質問の重さにやられた音。どんときたねー」

「男女の話題は何度か出しましたがこう広がりますか」

「そのうち同性婚についてとか来そうだよね。そんな、語れるほど詳しくないよあたしは」

「僕もです。だから、その話題に明るくない一般市民AとBの会話だと思ってラジオを聞いてほしいものですね」

「そうそう。この手の話題は知識の量で結論が変わったりするからね。明らかに知識不足の人間の結論ってのが大前提よ?」

「さて、その上で。上崎さんの考えをどうぞ」

「あたしからか。まあ、いいよ。えーと、日本で主に話題になってるのは選択的な夫婦別姓のことだよね? それは、認めたらいいと思うよ。同性別姓どっちがいいとも思わないから選ばせればいいと思う」

「成程」

「あのさ、個人の名前って出していいかな」

「声優の話題とか散々出してる気がしますが。誰の話題です?」

「若新雄純さん。知ってる?」

「テレビでコメンテーターとかやられてる方ですよね。独自の視点を持ってる感じがして好きですよ」

「そうその人。あたしはまず、好きとか嫌いとかは一旦置いとくんだけど。偶然なんかのラジオで面白い話を聞いてさー」

「なんかのラジオって、ふわふわした記憶ですねえ」

「まあだから、個人名出しといてあたしの完全な記憶違いだったら炎上するかもしれないんだけどさ」

「なにその物騒な前置き。絶対やめてくださいよ」

夫婦別姓を認めないのは憲法違反か? って裁判で、最高裁違憲じゃない! って言ったニュースに関しての話題でね。まずそもそも、違憲じゃないってだけで別姓が駄目って言われたわけじゃないよねってトークだったんだけど」

「その辺勘違いした人が大量に湧きましたよねえあの時。裁判所までそんな時代に合わない判決を? みたいな。そうじゃねーよ裁判所は条文と照らし合わせてんだよって」

「まあ色んなニュース見てると、判決にも時代を反映したりは普通にあるみたいだけどねー、その辺はよく分かんないや。で、だから改めて、個人個人の間や国会の場で話していきましょうね、ってなったわけでしょ?」

「なったわけですね」

「そんで若新さんが個人の考えとして言ってたのがさ。このテーマで考えるべきこととして、制度が変わった後の一人一人の環境も考えるべき、みたいな話だったんだよ」

「ふむ……ふむ?」

夫婦別姓を『選択』できるようになる。すると、今まではどうせ駄目なんだからで終わってた考え方の違いが表装化するだろうなーっていう。夫婦別姓にしたいと思う人が、結婚相手と、あと自分の親や、結婚相手の親と意見が合わない。夫婦同姓にした人が、折角別姓にできるのになんで? って言われる。必ずしも選択できるのがいいことじゃない。絶対夫婦同姓、選択できる状態の他に、絶対夫婦別姓っていう考え方も持っておくべきだ、って」

「ああ……いや、成程。そこまで考えたことはなかったですね」

「あたしもね。いや、面白いな! と。なによりまず、その着眼点を持ってる方ってすごいなと思ったね。あたしにはない発想だった、特に自分や結婚相手の親ってところが」

「結婚相手と意見が割れるのは、まあいい、いやいいわけではないですけども。結婚相手に求める条件が増える人がいるかなってくらいの話題ですもんね」

「そうなんだよ。その程度で結婚できないっていう人とは一緒にならないほうがいいからね。いや、その程度、って認識があたしは軽すぎるのかもしれないけど、それこそ軽く考えられないなら絶対譲るべきじゃないしどちらも譲れないなら結婚できないに決まってるもん」

「けど、親となると。最終的には本人たち次第ではあるのですが、それで納得できない人も当然にいますよねえ。周囲に微妙に祝福されない結婚となっちゃうと、それがそれこそ『その程度』な理由でとなると、悲しい」

「自分の親、ってのも割と厄介だよね。別に仲悪いわけじゃなくても、寧ろ両親のことが大好きであるほどに、親の期待や考え方を尊重してあげたくなるもん。自分は相手の姓に合わせたいけど、親が折角だから苗字を継いでほしいと言ってる。無碍にできない! みたいな」

「近い未来は特に女性が悩むことになってしまいそうです」

「今の親世代はまだ、女性が名字を変えるのが当たり前の世代も多かっただろうからね。例に出したのは逆パターンだったけど」

「ではそれを受けて上崎さんがどう思ってるのかは、CMの後にお聞きしましょう」

 

(CM)

 

 

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