第二十三回ふわふわラジオ(2)
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上「そんなにゲームで勝ちを拾いたいならプロゲーマーになったらいいんじゃない? 仕事も兼ねられて一石二鳥じゃん」
柴「なりませんよ。勝てませんもん」
上「それは努力次第では?」
柴「努力でプレイヤースキルの差がどうにもならないから、時間さえかければ勝てるゲームやってんでしょうが!」
上「考え得る限りの最悪に近い逆ギレを見ている」
柴「しかも、努力が一番嫌いな人種であるところの我々ゲーマーが! どうして好き好んでプロの要る世界に飛び込んでいくと思うんです!? プロなら絶対選ばないようなゲームバランスぶっ壊れてる世界で最強キャラだけ確保しつつ圧倒的プレイ時間で差をつけるんですよ。分かんないかなあ」
上「ゲーマーってクソだなということはよく分かったわ」
柴「まあ、大分大げさに言ってますけどね。極論するとそんな感じ、なんて人はまずまずいると思いますよ」
上「でも、努力が一番嫌いとか言うし、実際それはそうなんだろうけどさ。極まったゲーマほど、ドロップ率のバカ低いフィールド何百周とかって苦行に真摯に取り組むわよね」
柴「え、ああ、まあそうですね。確かに」
上「やっぱさ、楽しい努力かどうか、ってことじゃない? 確かに辛く、苦しいけれどもさ、隙でやってるゲームだからちょっと楽しいじゃん。その道一直線のスポーツ選手とかもさ、練習は辛くて、あまりに苦しくても、結局は好きで始めたもので嫌いになりきれない。そういう努力は、そりゃ嫌ではあるけど、やめないのかなって」
柴「それは、あるでしょうね。周回中、めんどくさいやめたいだの言いながらも、結局やめれないのがゲームみたいなトコありますし。でも、仕事でマジで嫌な案件まかされた時みたいな、ひたすらな絶望ともやっぱり違うんですよね。終わった時にあー怠かったって笑顔で言う感じ」
上「あー、その例えは分かりやすいね。本当に、終わってよかったやっと逃れられたっていう必死さが出てこない感じ。やれやれってなる感じが、ゲームや、好きなことで言う苦しさなのかもね」
柴「ロックマンエグゼ5の100人斬りは必死さが残るタイプの苦行だったので二度とやらせないでください」
上「ちいさいお友達に分かりにくい例えを出すな」
柴「さーて、今週のサザエさんはー?」
上「え?」
柴「というわけでおたよりコーナーです」
上「版権に気を使って?」
柴「今更でしょ」
上「確かに」
柴「今週もちらほら届いてますよー」
上「わーい、みんなありがとう。でもドシドシくれたらもっと喜ぶよ」
柴「うーん、がさごそ。これだ! PN『未来と書いてあすと読む!』さんからのおたよりです、ありがとうございますー」
上「中二病患者によくあるやつね」
柴「『上崎さん、柴山さん! こんばんはー』」
上「はーい」
二人「「こんばんはー」」
柴「『私の地元はなかなかの限界市町村で、実家の近くがいいなと安易な気持ちで就職先を決めた私は日々周りとの感覚の違いに戸惑う日々を過ごしています』」
上「限界集落的な市町村ね、わかるわかる」
柴「別に集落以外は限界迎えそうにないってわけじゃないですもんね、現代社会」
上「そうそう。結局上が有能かどうかと、住民の意識の高さによるものだからね。人口は大事だけど一番の問題ではないと言うか」
柴「続きを読みます。『先日、祖父を通して聞いた話です。かつては周辺の住民がよく利用していた名物スーパーが近くにあったのですが、これが数年前に廃業して今は空き家になっています。これを解体して近くに新しいお店を整備しよう、という話の中で突然、一部の老人たちが主張し始めたそうなのです。地域にとって大事な財産だ、と。古い建物を修復して、市でお金を出して保存して欲しい、と』」
上「うわー」
柴「『私のまちは限界市町村です。言葉を略さずに言えば、破滅寸前なのを理解していない老人どもがいなくなる前に“限界”を迎えて未来が無くなってしまいそうな“市町村”です。上崎さんが秋田出身だと聞いたので、似たような境遇かもしれないと思いメールしました』だそうです」
上「略さないバージョンが分かりみすぎる。住民、危機感が足りないわよね」
柴「危機感ですか」
上「そー。大学生の頃の私みたいにさ、一回外に出ると分かることなのよ。いや、正確には、外の友人が増えると分かることなのよ。全国47都道府県市区町村はいくつだっけ? の中から、強く地元にとは言えないよなって」
柴「地元に、とは?」
上「呼ぶ。遊びに来てもらう。しょっちゅう来てもらう。住んでもらう。まあ度合いは置いといてさ、限られたお金と時間の中で、あたしに会えるってのと他の魅力アピールだけを武器に、おいでって言えるか? って話なのよ。魅力はある。名産品はある。やさしい人達もいる。それはそう、で? それって他にはないものなんですか? ってさ。日本中の中から交通の便悪いの我慢して是非うちにって言える状況になってますか? って考えて初めて、あ。ヤバいなって思うのよね」
柴「それは、そうかもですね。僕も東京に出てきてから知った仙台は多いですし、逆に目についた駄目なところもあった気がします」
上「いいところだ、魅力的だって言ったって、結局住民が減れば税収は減るし、収入が減れば破綻するのよまちってもんは。それを楽観的に考えてるなーってのは、あたしも地元にいてよく感じる。別に、外に出たあたしが偉いわけじゃないのよ? 色んな考えがありつつもずっと地元を守ってる人たちこそが凄いとは思う。けど、ちょーっと意識を変える必要はあるかなってね」
柴「さて、おたよりにあった話ですけど」
上「あ、待って。長くなりそうだからCM挟んじゃっとこうぜ」
(CM)
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