第七回ふわふわラジオ(2)
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上「あたし、昔からオタクだったわけじゃないのよ」
柴「今は?」
上「TPOを弁え身なりや生活など他のことにも目を向けられる見境のあるオタク(修行中)」
柴「最近では汚らしい感じの、典型的なオタクみたいなのは減ってきてる感じしますけどね」
上「数が減っている筈なのにそれが『典型的』であり続けるあたり、これこそがステレオタイプってやつなのかって感じだけどね。いや、そういう話じゃなくて、昔はあたしも純真無垢な美少女だったわけよ」
柴「今は?」
上「酸いも甘いも噛み分けて、人間の汚い部分をも知ってしまった清濁併せ呑む系レディ……って話を先に進ませろや」
柴「はいどうぞ」
上「はいどーも。つまりは、動画を製作してみようかなと思い始めた辺りでは、あたしが効く曲ってのはJ-POPの物が多かったのよね。ボカロも多少は聞き始めてたけど、まあそのくらいだったというか」
柴「歌ってみた、ってボカロ系の動画が多いですからねえ」
上「そもそも件の宿敵著作権野郎的に、off vocal音源を配ってくれてる物じゃないと使えないからね。J-POP曲は大体制作会社に権利があるからCD音源は使えない、ネットに溢れてるカラオケとかはちょっとセーフなのか確信が無い。あたしはリスクを避けて通る女……」
柴「あれ、自分で演奏するのはセーフとかなかったでしたっけ?」
上「柴山さんと同じって言ったでしょ? 楽器できないのよ。ピアノもほんとに経験があるって程度だし、そもそも歌いたい気持ちは強いけど演奏したい気持ちはほぼ無い」
柴「歌いたい曲があって動画制作とかいう激ダル無償労働に挑戦しようとしたのにその曲を歌えないのなら……って感じですか」
上「ちょっと言いすぎだけどほぼその通りだね。そんなこんなで諦めてから早5年」
柴「思ったより昔じゃなかった」
上「子供の頃って何でもできるよね。反対に、大人になると意外となんもできないよね」
柴「わかるなあ。能力的には成長してる筈なんだけど、やるべき事も増えてるので全体で見れば使える時間減ってますからね」
上「その能力的な成長というアドバンテージも、新しいことを一から始めるって時には消滅するからね。子供の頃にもっとやっとけばよかったなーって後悔すること割とあるや」
柴「わからないなあ」
上「あれ、ほんと? わかってくれるかと」
柴「いや前半は同意。でも子供の頃への後悔に関してはちょっと異論あるんですよね」
上「来たな~柴山さんのこだわりポイント!」
柴「ふふふ行きますよ。よく、勉強とかに関しても、小さな頃に親に言われませんでした? 今ちゃんと勉強しておかないと、大人になって後悔するよと。大人になると、やりたくてもやる時間が無かったりするんだからと」
上「言われたね」
柴「実際大人になってみて、確かに時間が足りない! 子供の頃の、勉強ができる環境が恋しい! わかりますわかります、しかし、欲しいのはタイムマシンですか?」
上「回りくどいプレゼンだなあ」
柴「子供の頃に今以上に勉強するということは、勉強以外の何かの時間は確実に減るということです。時間は万物に対して平等何かを得るには何かを切り捨てなければなりませんから。あの時やりこんだポケモンは、モンハンは、デュエマはやらなくてもよかったですか? 学級活動への、部活動への熱意は抑えたほうがよかったですか? 友達と遊び、恋をしたあの思い出は、まーもうちょい少なくてもいいかなーとなりますか?」
上「わかるけど長い、纏めると?」
柴「我々に必要なのは過去を変えるタイムマシンではなく、現在に時間を捻出するための精神と時の部屋です」
上「時間は万物に平等とか言ってた気がするんだけどさ」
柴「どっちもフィクションなんだからそうだねー欲しいねーで終わりゃいいんですよ。後悔に意味はあんまり無いので現在を変えていこうねみたいな話!」
上「意識高い系な結論だったや。でもまあ、言われてみれば確かに。あたしそこまで深く考えて子供の頃の話したわけじゃないんだけど、納得はいったよ」
柴「それはよかった。ところで何の話からこうなったんでしたっけ」
上「柴山さんが覚えてないことをあたしが覚えてるわけないでしょ」
柴「ダブルMCの意味が3割くらい消えたんですが」
(無音)
柴「あ、カンペありがとうございます。あー、バンドの話からか」
上「リクエスト曲がレオニだったんだねそういえば。それすら忘れてたや」
柴「そういえば上崎さん、プロセカやってるんですね」
上「うん。なんか、2、3個ゲーム入れてるみたいに言った気がするけど、今スマホに入ってるのはFGOとプロセカとガルパだったよ、この前確認した」
柴「ほんとに有名どころを入れましたってチョイスだなあ」
上「だからそう言ったじゃん」
柴「でも有名どころと言えば、そうですね。パズドラとかモンストは?」
上「パズドラはやってたことあるよ、でもなんかインフレについていけなくなった。モンストは未履修」
柴「ああ、昔はやってたけど今はアンスコしてるゲームとかもありますか」
上「それこそ、その時々の有名どころとかはけっこう触れてるんじゃないかな。でもやり込めないというか、こう、ストーリーボスで満足しちゃうタイプというか」
柴「あ、わかりやすい。そういう人もいますよね」
上「この辺が、自分をオタクだと堂々と言いきれない所以というかね。例えばゲームのオタクの人って、やりこんでこそなイメージがあるもん」
柴「例えば、そうですね。モンハンやってたって言いましたけど、あれなんかはどこまでやるんですか?」
上「ああいや、ソシャゲとコンシューマゲーでも違うけどね? そーだな、あればG級最後のランクまで開放して、ラスボスモンスターも一回倒して、かっこいい装備2種類くらい作ったところで飽きが来る感じ」
柴「うわあ理想通りというか典型的というか、いや悪口ではないんですけど、わかります。そのあたりから作業の面が強く出てきますもんね」
上「別に作業ゲーが嫌いってわけでもないんだけどね……そうだな。柴山さんっぽく言えば、優先順位? どうしても時間食うし、他にやりたいこと出てきて押し流されていってるかも」
柴「普通の人はそうなりますよね。作業だと分かってもやってる人たちの頭がおかしいだけだと思いますよ」
上「ちゃんと知ってるわけじゃないけど柴山さんもそっちの人だよね?」
柴「はははなんのことやら、おっとCMです」
(CM)
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