第四回ふわふわラジオ(2)
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柴「本日はお風呂の話題をお送りしております」
上「美人プラス風呂……これはもう、深夜帯だね」
柴「そうですか」
上「つれないなあ。あ、お風呂と言えばさ」
柴「はい」
上「温泉旅行とか行く?」
柴「さっきも言いましたけど、そんなに風呂に浸かることが無いので。とはいえ、嫌いではないですから、旅行先にあれば入ったりはしますけど……温泉目的で行くことはあまりないですね」
上「そっかあ。あたしさ、前に友達と温泉旅行に行ったのよ。最初は2人で行くつもりだったんだけど、なんか気づいたら4人くらいになっててさ。まあ、みんな仲いい子だったからそれはいいんだけど」
柴「あれ、そこの愚痴じゃないんですね」
上「うん。それは、そういうこともあるんだよ。でね? あたしは温泉旅行なんだから、とっとと宿に入って、ご飯前にゆっくりひとっ風呂浴びて、夜もお風呂はいって最後に朝風呂ってのを思い描いていたわけよ」
柴「あー……」
上「それがだよ? 駅着いてから周辺じっくり見て回るわ、先にお土産を見るわ、ご飯まであんま時間なく宿着いたのにみんなでゲームしようとか言うわ、違うでしょ! これは温泉旅行! なの! 温泉を楽しむことが目的なの!」
柴「いや、上崎さん。それは上崎さんが特殊ですって」
上「いやいいんだよそれは! はいはい異常なのはあたしなんでしょうねそれはそれでいいんだけどさ! ならついてくんなよ!」
柴「まあ、最初は二人の予定だったんですもんね」
上「最初に誘ったもう一人はそんなに拘りなかったみたいだから普通に楽しんでたし、それはそれとして朝風呂には付き合ってくれたけどさ。そういう子だから一緒に温泉行きたかったんだけどさ!温泉興味無い奴は今回は遠慮してほしかったなあって思ったよね」
柴「温泉旅行、ってワードの捉え方が違った可能性はありますね」
上「そう! 今思えばね。多分、その子たちからすれば、ちょっといい温泉付きのとこに泊まるんだーくらいの感覚だったんだろうね? 温泉にも入れる、観光旅行というか」
柴「ところが上崎さん的にはそっちこそが本命だったと」
上「そのためにわざわざ高めの温泉旅館とったからねえ」
柴「観光目的の旅行も別個に行くんですか?」
上「あんまり。でも、行くこともあるよ。その時は宿は休いビジネスホテルとかで抑えて、ご飯まで全部外で済ませるかな。飲食店巡りも観光の一環だし」
柴「なんか、結構こだわりが強いタイプなんですね」
上「めんどくせー女だと思ったか」
柴「若干。こだわりがめんどくせーと言うより、そこまでこだわりがあるのにみんなで旅行行くのがめんどくせーなって」
上「いやいや、それはさー。普段は気の合う人としか行かないよ? それこそ、さっきの話で合わなかった二人も、次からはこだわりを事前に行っておくようにしたのよ。それでもいい時は一緒に行ってくれるし、今回はパスってことも増えたけど、そっちのほうがお互いにいいよね」
柴「ああ。別にそこで仲違いしたとかじゃないんですね」
上「うん。それこそ公共の電波に乗せて、聞かれても問題ない笑い話の類よ」
柴「そう考えると、そのめんどくささ曝け出しても付き合いがある友達がいるっていういい話で終われそうですね」
上「なんか含みのある言い方だけど、そうだね。柴山さんは旅行とか行く?」
柴「行きますよ。かなり行きます。一人で」
上「えっ一人?」
柴「はい。それこそ、色々とこだわりあるめんどくさい人と行くと大変ですからね」
上「もしかして今日、柴山さんのあたしへの好感度めっちゃ落ちた?」
柴「いや、別にそんなことないですよ。旅行に一緒に行きたいタイプじゃないってだけです」
上「そっか。なんか当たり強いなと思ったけど気のせいか」
柴「いつも通りですね」
上「ん?」
柴「あと僕、予定をあんまり決めないで、その時その時の思うままにふらふらするのが好きなんですよね」
上「ああ、いるよね。旅行の時、分単位で行動縛ってくるタイプ。あたしもそれは苦手かも」
柴「そういうのはもう敵と言ってもいいくらいですが、なんていうかな。例えば美味しそうなピザの店を見つけるじゃないですか」
上「うん」
柴「ここで誰かと歩いていると、このお店どう? なんて話を振るわけですよ」
上「そうだね」
柴「たまたま相手がそんなにお腹すいていないと、えーどうしよっかなー、そんなにお腹すいてないんだよねーみたいな話になっていくわけです。でも実際美味しそうだから、悩む素振りも見せつつ、もう一押しがあったら入ってもいいかなとも思っている。僕はそれを的確に読み取ってこう言うんですよ。パスタとか軽食もあるよ、どうかな、と。こういう思考とやり取りがクソめんどくせえので一人で行きます」
上「なんていうか、よく人間社会で生きていけてるね?」
柴「自分でもよく思います」
上「あとそれは大分偏見じゃない?」
柴「友達にもよく言われます」
上「さらに言うと、思ったことを本音でズバッと言い合えるのが友達じゃない?」
柴「それは初めて言われましたけど、確かにそうですね。いや、いないわけじゃないんですよ? でもその人と予定合わなかったりすると、結局一人で行っちゃえってなるじゃないですか。それこそ誰か一緒に行く人いるー? とかってやると地雷踏むし」
上「あたしの友達を地雷って言うな」
柴「そもそも仲いい友達でも、日程合わせる時点で、一発で合わなかったらめんどくさくていいやってなりますね」
上「うぐ、確かにそれは分かる」
柴「そうなるとやっぱり一人で行って、余計なこと考えずに楽しんでってのが一番楽だと思っちゃうんですよね」
上「そうなんだなあ」
(CM)
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