ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第二十一回ふわふわラジオ(3)

柴「続いては、PN『社会人3年目』さんからのおたよりです。ありがとうございます」

上「新社会人ラジオかな」

柴「3年目って新社会人ですかね?」

上「あたしと同じ、と考えると違うかもしれん」

柴「えー『上崎さん、柴山さん! 聞いてくださいよ!』」

上「お、おう」

柴「『あ、こんばんは!』」

上「お、おう!」

柴「『実はぼく、コロナ禍でずっと行けてなかった、大学時代を過ごした場所に行ってきたんです! そしたら、びっくりしました! まさか仙台の商店街でシャッター街を見るとは!』」

上「え、マジで? あの大都会仙台で?」

柴「『まあぼくの地元ではよく見る、ずっと見る光景ではあるんですが。やっぱり大変な2年間だったんだなあと強く感じました。お二人の地元や、思い出の場所は大丈夫でしたか?』僕の地元は駄目でしたね」

上「たった今駄目だったのが確定したもんね」

柴「秋田はどうでした?」

上「よく見るずっと見る光景ですが?」

柴「なるほど」

上「というか、意外とね。コロナ、ど田舎の小さなお店のほうが影響少なかったんだと思うよ。実際地元はよく見るずっと見る光景、でもそのまんまあまり変化は無かったもん」

柴「ふむ?」

上「凄く悪い言い方になるけど、それがなくても上手く行ってなかったわけだからね。そして上手くいってなくても、死なずに生き残っていたわけだから。そーゆーの慣れっこだったんじゃないかなって」

柴「ああ、まあそれはあるでしょうね。高い回転率と収益を維持していたところほど、自粛要請とやらの影響をモロに受けたでしょう。実際、僕この前ちらっと仙台帰ったんですけど」

上「あ、そうだったんだ」

柴「確かに大きな、駅に近くの好立地ほどシャッターと化していましたけど、個人でやってる喫茶店とか知ってるのは一つも消えてなかったんですよね。なので上崎説、間違ってないと思いますよ」

上「神サ•季節?」

柴「は?」

上「ちょっと思いついただけ」

柴「はあ。そういえば、上崎さん大学はどこだったんでしたかね? 秋田県外だってのは聞いた気がするんですけど」

上「仙台だったよ」

柴「僕ら話題の範囲も生活の範囲も似すぎてますね……」

上「ダブルMC(持ちネタ被りまくり)ってのもまた、新しいよね」

柴「誰もやらなかった新しいことが良いものだとは限らないんですよ」

上「東北ラジオじゃん」

柴「変な属性がどんどんついていくなあ」

上「宣伝ツイートのハッシュタグ増やしていかなきゃ」

柴「絞っていかないと投稿内容が薄くなりますよ!」

上「何の話だっけ?」

柴「シャッター街?」

上「ああ。昔住んでたと言っても、今やただの一観光客として行く身としてはさ。馴染みの店が無くなってたりすると強い悲しみを覚えるのよね」

柴「寧ろ、昔住んでたからじゃないですか? もう行く機会が減ったからこそ強烈に思い出として残っていて、だからこそ無くなってしまうとショックが大きい」

上「十年、二十年空いてれば違うんだろうけどねー。例えば今行ったとして、3年の間での変化って、こう、目に付くから余計感傷的になるわよね」

柴「変わらぬ町並みの中に、思い出の店だけが無いんですよね。僕も言ってるだけで悲しくなってきました」

上「いつか後悔しないように、行けるときに行って、楽しめるときに楽しんでおこうみたいな話で終わりかな」

柴「次帰ったら一通り回ってみようと思います。行けるうちに、ね」

上「大学時代といえばさー。あたしはこう、あんまり成長できてないなーって気がするよ」

柴「どうしたんですか急に」

上「ほら、最初のほうで社会って場所のヤバさの話したじゃん?」

柴「社会のヤバさというか、正義を問う者さんの会社のヤバさというか」

上「いやいや、そこ以外も、全ての社会が割とヤバいと思うよ? けどさー、いつまでこんなこと言ってんだろーなとも、ちょっと思ったりさ」

柴「いつまで、ですか」

上「嫌だと言ったって、あたしはもう、親の金で学生やらせてもらってた頃には戻れないし。社会の中で生きていくしかなくて。守ってくれる人はいなくて。なのに、社会ってものがまるで自分の居場所じゃないかのように、いつまで叫んでるんだろうかコイツは。そう、自分に対して、思ったりさー」

柴「うーん、まあ、社会を構成するうちの一人なんだという自覚は、たしかに大事でしょうけど。でも、社会の中で生きるというのは、社会に合わせて自分を捻じ曲げていくのとは違うと思いますよ」

上「そうなのかな」

柴「今回は例が極端でしたけど、だって、じゃあ自分の居場所を守るために上崎さんは法を犯すんですか?」

上「それは、やっぱり違うと思うけど」

柴「けどじゃないですって。どうせ、それで守れる居場所は一時的なものですよ。いずれバレて、失うだけの場所です。あなたに見えている社会はきっと全体のほんの一部だし、あなたが思い、願っているような場所もきっとありますよ。社会ってきっと、一を聞いても十の予測すら出来ないような多様で不規則な存在ですって。だから、自分を捻じ曲げるんじゃなく、自分のまま生きられる社会を探しに行くくらいでいいはずです」

上「そのとおりだと思うけど、理想論すぎない?」

柴「ええ、超理想論です。でも、結局最初に戻りますよ、あなたが法を犯したり、バレたらそれこそ社会から除け者にされそうなそんなリスクを背負うくらいなら、厳しくても理想論を追うべきだと僕は思っています」

上「分かっちゃいるけど踏み出せない! 踏み出した先、どこに足を置けばいいか分からない! そんな時はまたおたよりをください。我々ふわふわラジオが一緒に悩みます」

柴「一緒に悩むんですか」

上「ふわふわした知識しかないから」

柴「しょうがないですね」

上「というか結局、正義を問う者さんに向けたトークしちゃってるわね。社会人3年目さんもおたよりありがとう!」

柴「法律ってワードのパワーが強すぎましたね」

上「そんなわけで今週もお時間です! おたよりバシバシ送ってくださいね!」

柴「聞いてくれてありがとうございました。また再来週お会いしましょう」

上「ばいなーら!」

 

(ED)

(曲)「番組テーマソング(T-Pistonz+KMC)」

 

 

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