ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第一回ふわふわラジオ(2)

(SE)『ふわふわ~ラジオ~!』

 

上「毎回流す必要ある? これ」

柴「待って一回話し合おう上崎さん。さっきの趣味の話はまずいでしょ。貴女はこの番組を潰したいんですか?」

上「言ってみただけだしいいじゃないですかー。嘘だし」

柴「ダメですし嘘なのかよ」

上「言ってみたかったんですよね、数多の男をとっかえひっかえ! みたいな台詞。全国放送で言えたんで満足しました」

柴「ヤバい人じゃん……全国放送を私物化しまくりじゃん……」

上「まあそれだけじゃないんですけどね。あたしあんまり趣味が無いんですよ」

柴「さっき割とオタクだということが判明したばかりですが」

上「うーん、でもそれも度合いの話になりません? 最近はアニメも漫画も手軽に摂取できる時代ですけど、だからこそ、趣味と言うためのハードルが上がったというか」

柴「あー。わかります」

上「そりゃ空き時間にスマホでマンガ読むし、夜に酒飲みながらアニメ見る日もある。ソシャゲも有名なの二つくらいは入れてますし、でもそれってオタクなのか? 趣味はアニメです、とは言えなくないか? とね」

柴「昔はワンピース好きなだけの人はオタクじゃない! ってオタク側が言ってたりしましたよね。でも最近じゃ鬼滅の刃進撃の巨人ですら全人類知ってるし、千本桜が小林幸子の歌みたいになってるし。オタクとそうじゃない人の境目が微妙って感じ、ありますね」

上「でさ。絶対いると思うんですよ、他は見ないけどワンピースはグッズも集めて聖地巡礼もして声優も詳しいですみたいな人。部屋中にポスター貼ってあってもオタクじゃないとは流石に言えないだろうし、基準は? ってなりますよね」

柴「僕ら……いやもう僕がコッテコテのオタクなのは認めた上で、ですが。マイナーでいたいってのはあるかもですね」

上「ふむ?」

柴「なんか、あれですよ。俺だけが知ってるぜが優越感になる感じ?」

上「あー……成程。アイドルのオタクでもありますよね?」

柴「そうかも。上崎さんアイドルも?」

上「あたしは全然ですけど、弟がね。地下アイドル大好きなんですよ……で、ずっと地下アイドル好きなんですよ」

柴「あ、有名になっちゃうと終わるタイプですか」

上「それ。乗り換えてくの、どんどん。地下アイドルを押していること自体が趣味なんでしょーね」

柴「まあ勿論人による話だとは思いますけど……そういう人もいるよね、って一例ですよね」

上「なんですか~保険張ったな~?」

柴「第一回からあんまり敵作りたくないんですもん。凄く今更ですけど」

上「ほんとにね」

柴「さて、この辺で終わっときましょうか、この話題。なんか深堀りするほど敵作りそうな予感がします」

上「あ、待って待って。柴山さんの趣味は?」

柴「僕?あー、うん……まあ、マンガ読んだりすることですかね」

上「ここでアニメって言わないのが拘りのオタクって感じしてきもいよね」

柴「流石に過剰暴言じゃないですか? いやでも、そうなんですよ。あまりアニメは見ないんですよね」

上「そんなの一般人から見たら一緒ですよ、一緒。なんか二次元好きなんだってーで終わるやつですよ絶対」

柴「全オタクが嫌いな人種の話はやめてください。そして貴女一般人枠じゃないでしょう」

上「まあね。いや、だからまあ、あたしはわかりますよなんとなく。割といますよね」

柴「本や漫画は結構イメージが自分の中で膨らんじゃいますからね。好きな作品であればあるほど、そのイメージを壊したくないと言いますか」

上「そういうことだったんだー。あ、じゃあアニメ化決定! のご報告ってあんま嬉しくないんですよね? どういう感情で見てるんですか、あのお祝いムード」

柴「いや……よかったですねって。頑張ってくださいとは思ってますよ。作品は作家さんの物ですし、アニメ化を目標にやられてる方も多いですから。詳しくは分からないですけど、収入的にもアニメ化したほうがいいのかなーとも思いますし、喜ばしいんじゃないかなとは思って見てます」

上「本音は?」

柴「とても複雑な気持ちです」

上「(笑)」

柴「んでアニメがヒットしたりするとマジで複雑です。あのね、グッズがね、減るんですよ。原作イラストの割合が」

上「あー……あー! そうかも!」

柴「アニメ絵が嫌い、とまではいかない作品も多いですよ? でも私は漫画のほうで好きになったので、お金を出して買うのならそっちのイラストのグッズが欲しいわけですよ。けど出るグッズはアニメのものばかり。アニメのヒットに合わせて原作の販売数も増えてる筈なのに、グッズはアニメの物ばかり。あの悲しみと言ったらないですね」

上「さっき言ったようにあたしは結構中途半端なので詳しくないんですけど、実際、アニメ化してなければ多いんですか? 漫画絵のグッズって」

柴「多くは無いです。書き下ろしであることはもっと、多くないです。それでもアニメグッズに埋もれてどこにあるのやらってならないので」

上「柴山さん的には問題ないってことですね。はー、成程」

柴「あとね、映画」

上「映画?」

柴「アニメが大ヒットするとね……最近は気軽に映画化するんですよ。で、それがアニメでやったとこの続きならいいんですけどね?」

上「そういえば、それこそワンピースとかコナンって、オリジナルストーリーでしたっけ」

柴「しかも原作者書き下ろしとか言われるとね? その作品のファンとしては、知らないわけにいかないじゃないですか。で、2時間も見て帰って来れば、俺のイメージの中のキャラクターの声もすっかりアニメ声になってるって寸法ですよ……」

上「なんか洗脳されたみたいな話なってますけど、そこまでの話じゃないと思うんですよね。まあ、理解はできますけど」

柴「こんなことが繰り返されると、全ての男性主人公の声が松岡禎丞以ボイスで再生されるようになってしまいます」

上「(爆笑)うわめっちゃわかりますそれ! ラブコメの主人公大体松岡さんだもん!」

柴「それはそれで結構合うんですよ声。でも、結構個性強い声ではあるので、イメージとは違うのに妙に耳に残るんですよ」

上「あーいや、わかった。完全に理解しましたよ柴山さんの言ってること。つまりどっちも楽しむ気があるんならアニメから漫画に入るのが吉ってことですね?」

柴「……成程、そうとも言えますね。なんかそれが答えな気がしてきました」

上「あれ、ほんとは違った? まあそうとも言えるならオッケーですね!解決!」

 

(CM)

 

 

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