ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第十八回ふわふわラジオ(1)

 

(SE)『ふわふわ〜ラジオ〜!』

 

「どーもこんばんは。MCの上崎茜(CV.三澤紗千香)です」

「同じくMCの柴山蒼汰です」

「『ふわふわラジオ』 も18回目、隔週放送になって3回目。そろそろ慣れてきましたかね?」

「毎週のように同じこと言っていきそう」

「あたしの声を聞けない金曜日を嘆く声がここまで届いてきたからさー」

「どこの並行世界から来たんですか?」

「この世界ではあり得ないってか? はー! まーいいけどね! 取り敢えず第18回始めるよ!」

 

(SE)『ふわふわ〜ラジオ〜!』

(CM)

(曲)「ニブンノイチ(BACK-ON)」

 

「PN『職人』さんからのリクエストでした。ありがとうございます」

「なんの職人なんだろうか」

ガンプラ職人でしょう」

「なんでそんな絶妙なとこチョイスするわけ?」

ガンプラを扱ったアニメの主題歌だからですよ」

「あっ、あたしの知識ガバだったか」

「知識ガバって」

「で?」

「はい。『上崎さん、柴山さん。こんばんは』」

 

二人「「こんばんはー」」

 

「『ガンダムビルドファイターズの主題歌、ニブンノイチをリクエストします。この作品は、全てのガンダムファンが好きであろうバトル展開と共に、モノ作りに対する情熱や思いも表れていたような気がして私は好きでした』」

「ほーん」

「『家具職人である私も、若き日の情熱を思い出しましたよ』、えっ」

「推理ガバじゃん」

「『まあ、どんなに真心を込めて作っても、私の作った家具は戦ってはくれないのですがね。はは』なに笑とんねん」

「自分の予想外して恥ずかしいからって八つ当たりすんの恥ずかしいですよ」

「ぐっ……『また、作る者として絶対に忘れてはならない、使い手との信頼関係が描かれていることも最高でした。作り手と使い手は二人で一つ。そんな意識が作品からも、ニブンノイチという曲名からも分かります。今でも大好きな作品です』だそうです」

「信頼関係かー」

「なかなか、僕たちのような一方的な発信側には分かり辛い感覚ではありますけど、いいですよねそういうの」

「は? 何言ってんの」

「はい?」

「ラジオこそ話し手と聞き手で作り上げていく作品でしょ。特にこの番組なんておたより募集してるんだよ? 聞き手が興味を持ってくれることがおたよりに繋がって、それがあるから私たちは話ができる、話を聞いて聞き手がまた楽しむ。こういうWin-Winの関係を作っていくのが大事だし、その意識が柴山さんに足りてないからおたよりが集まりづらいんじゃないの?」

「ぐえっふ」

「柴山さん今日調子悪いね」

「そうみたいです……そして上崎さんは絶好調ですね」

「うん。ぶっちゃけあたしもあんまよく分かんないなーと思ってたけど、先に柴山さんに言われたらなんかすんなり言葉出てきたよね」

「ええ……」

「大体さ。作り手、使い手の話からちょっとズレちゃうかもだけど」

「はい」

「そもそもあたしは人との信頼関係を上手く作れねえ」

「可哀想」

「同情するなら信頼をくれ!」

「どーせ他人の信頼貰ってもあなたの側では信じられないんでしょう?」

「人のことは信じられないけど人から信じられたくはあるのよ」

「コミュ障の上に我儘で自己中な人だあ」

「大体、知ってるよ? あたしは。柴山さんもこっち側でしょ?」

「えっなんでですか」

「割としょっちゅう気が合うというか、意見が合うじゃん。あたしたち」

「嫌な信頼だなあ」

「あたしも誰かを信頼できるなんて……!」

「そういういい話じゃないんですよ。感動して泣いてる場合じゃ、えっ嘘ほんとに泣いてるの!?」

「と、こんな風にね、人によってはウソ泣きなんて簡単なことなんですよね。信頼なんてね、聞いて笑えるわよね」

「うーわ」

「で? 柴山さんは、えっとー。他人を信用できるほうなんでしたっけー?」

「他人を煽るときの表情が一番いい笑顔なのがなあ……いや、でも今のは置いておいても、そうでもないかもしれません。昔から友人関係は狭く深くって感じだったので、限られた人としっかり信頼関係を築く感じだったんじゃないですかね」

「あー、友達少ない奴のよくある言い訳ね」

「今日失礼が過ぎませんか!?」

「まー、あたしは更にその少ない友人すら信じられないタイプだったからあんまり人のこと言えないんだけども」

「すごく責め辛い……」

「いや、勿論嫌いなわけじゃないんだよ? 友達だもん。でもさ、例えば急に遊びに誘ったら迷惑かなとか、自分の悩み相談したら鬱陶しがられるかなとか、どんなに仲良くなっても思っちゃったりしない?」

「それは信頼してない、にはあたらないんじゃないですか? また別の、気遣いというか」

「いやー信用してないことになるでしょ。相手があたしに見せてきてるものを、そんなの気にしない人間だよって部分を疑ってるんだから。それほど失礼なことはないと思ってる……のに、考えてしまうのよねー」

「前々からめんどくさい人だとは思ってましたけど。本当にめんどくさいですね」

「ストレートな罵倒!?」

「いやだって、そういうこと考えちゃうから自分から人付き合い避けてるんでしょう? 要は」

「いやそれはその通りだけども!」

「そういうこと考えすぎないで声かけてみれば友達になってくれる人絶対いますって」

「あのね! 言っとくけどね! 頭では分かってんのよ多くの人はそうだって! でもね、無理なの!」

「何が貴女をそこまで頑なにしたんですか」

「急な呼び出しも答えを求めているわけでもない悩み相談も! あたしが! めんどくなっちゃうほうなの!」

「あっ」

「実際行けば楽しいし聞いてみればその人を理解できて嬉しいけども! 一瞬ええ……ってなるの! だから他の誰かも、そうなるかもって思っちゃうの! あたしという実例がいるから!」

「それは、なんというか。どうしようもないですねえ」

「ね! もーいい、CMいく!」

 

(CM)

 

 

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