ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第十二回ふわふわラジオ(3)

 

「それじゃ、花守ゆみりさんについてから、どーぞ」

「名前を知ったのは『ゆるキャン△』のなでしこ役の時ですね」

「あれはほんっとに可愛い」

「おお? 上崎さんの食いつきがいつも以上」

「いやー、広く浅く楽しむ派のあたしとしては、流行には乗りたいわけで。ちゃんと見ましたとも『ゆるキャン△』! なでしこちゃん全行動可愛いし可愛がりたいしもう最高」

「まあ、わかるんですけどね。そんな上崎さんにこそ、『結城友奈は勇者である』シリーズの三ノ輪銀をお勧めしたい。花守さんのね、咆哮というか。滅茶苦茶かっこいいんですよ」

「へー、そういう声もやってるんだね! すごいなー」

「最初は同じ方だと分からなかったんですよね、それぞれ好きでした。それが同じ方だと分かって、分かってから聞くとまた違う素晴らしさを感じて、一粒で二度美味しい状態ですよ」

「そういう意味じゃあたし今大ネタバレ喰らってるんだけど」

「大丈夫大丈夫、一期から見て行けば、出てくるころには忘れてますから」

「そんなに出てこないのかよ!」

「まどかの変身シーンほどじゃないですから大丈夫」

「言ったな! 見るからなー!」

「さて次は志崎樺音さんですが、うん」

「うん」

「皆さんに謝らなければいけないことがあります」

「は? はあ」

「今まで多くの声優さんたちを声がいいだの、歌が上手いだのと褒め称えてきた僕なわけですが。みんな違ってみんないいを訴えてきた僕ですが、少し訂正します」

「おっマジか」

「こと歌に限って言えば、志崎さんの声が僕は声優会で一番じゃないかと思ってます」

「おー! 浮気十二股野郎から一番を引き出した!」

「その呼称流石に悪意溢れすぎてるんでやめません?」

「りょ。で、この人はどんな声優さんなの? バンドリの人だよね?」

「そうですね。Roseliaの白金燐子役、二代目の声優さんでして。実は、僕はあのシリーズを最初から追いかけていたわけではないので、知ったのは割と最近なんですよね」

「うん」

「なので声優さん本人についてはあんまり知りません。兎に角歌声の印象が、凄まじい。あのですね、情報量がね、すごいんですよ。声の」

「声の?」

「一つの歌、一つのフレーズから、幾つものイメージが同時に来ると言うか。美しく、壮麗で、儚げで、力強くて、悲しげで、意思が籠った、そんな、こう、ぶわーっと来る感じがね。自分の語彙力の無さを恨みますよ」

「儚げと力強さって両立するものなの?」

「と、僕も思ってたんですけど、まあ聞いてみてください。多分、聞かないと分かってもらえないと思います」

「それやられると今日の会話の意味九割消滅するんだけど」

「仕方ないじゃないですか。恨むなら僕の語彙力の無さを恨んでくださいよ」

「そうするね」

「そうしないで。なんかフォローして!」

「めんっどくさ」

「まあ後は、こういうプレゼンって聞いて満足されたら寧ろダメっていうか、もっと知りたい! 見てみたい! ってなった方が勝ちなんで。実質僕の勝ちみたいなとこあります」

「おたよりの質問に答えるかつ柴山さんが愛を語るコーナーだと思っていたらいつの間にかプレゼンをされていた」

「というわけで収録終わったら是非聞いてください。そして情報量が多い! って叫んでください」

「うーん、ちょっとテンションはうざいけど、帰ったら聞き直してみよっかな。さて、ああ漸くラストだ、今井麻美さん! ちょっとこのメンツの中では異色だよね?」

「ベテランというか、キャリア長い方ですよね。この方に関しては、勿論今でもファンで応援していますが……言うなれば僕の原点と言える方なんですよ」

「柴山さんの原点声優さんなのか」

「はいちょっとオーバーに言いました、けどその辺察してくださいね相棒MC! 声優さんについて知った、その原点と言いますか。まあ言ってしまえば、最初に調べた声優さんですね」

「最初に調べた、か」

「僕高校の時までガラケー使ってたのもあって、あまり調べものする習慣がなかったんですよ。こちらも言い方微妙ですけれど、それまでは純粋にアニメやゲームを楽しんでいたというか、このキャラの声いいなあと思っても、そこまで。それがなんていう声優さんかまでは知らないでいました」

「柴山さんの高校時代、どんな時代だったんだろうか」

「まだ周りでスマホ持ってたのは少数派だったと思いますよ? 僕も周りの流れと一緒に持ったくらいだと思いますし。アニメだとそうですねえ、『Angel Beats!』とか『けいおん!』とか見た気が」

「あーその辺か! あたしが丁度リアタイしてないあたりだから、そーかも」

「そんなわけだったんですが、『アイドルマスター』のアニメをね、やったんですよ。ちょうどその頃、ちょい後くらい」

「おっ伝説」

「もう既にゲームを中心としたオタク業界では名の知れた作品シリーズではあったと思いますが、当時の僕にとってはなんかそんなのもあるんだなあ的なコンテンツでして。暇だから見るかあ、となったらこれが大当たり! 素晴らしい出来だったんですよ」

「あたしも見たことあるけど、完成度高いよね」

「2クール使って一人一人のキャラをしっかり掘り下げ、うるさくならない程度にプロデューサーにもキャラを持たせて物語として見やすくし、作品全体としての展開も無理なくわかりやすい。ほんと歴史に残る神アニメになってたと思います。で、ほら、あるじゃないですか。『約束』の歌唱シーン」

「あーもう察した、全てを察したよあたしは。あそこで“射抜かれた”わけだね」

「冗談抜きで震えましたよ、鳥肌が立ちました。アニメの音楽のCDって放送から少し時間を置いて発売されるので、それまでは録画したシーンを何度もリピートし。もっとこの人の歌が聞きたい! てかそもそもなんて人だ!? って調べ始めたのが一番最初でしたねえ」

「最初っから、なんつーか、熱が凄いわね……」

「同時に声優さんの歌というものも聞き始めた気がしますね。上から目線な感想ですが、声優さんって、こんなに歌えるんだ! という。視覚効果も込みではありましたがそれまで聞いてたJ-POPよりグッときましたからね、当時」

「それでこんな風になってしまったと。ところで柴山さん、そろそろ終わりの時間なんですがどうしてくれるんですか?」

「結局丸二回使って語っちゃいましたねえ。SEIYUさん、いいおたよりをありがとう」

「二度とやらないわこのコーナー。リスナーの皆さん、次回からはまた普通の『ふわふわラジオ』ですからね!」

「簡単ですが本日はここまで。皆さん、また来週お会いしましょう」

「ばいなーら!」

 

(ED)

(曲)「番組テーマソング(サニーピース)」

 

 

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