ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第十回ふわふわラジオ(1)

 

(SE)『ふわふわ〜ラジオ〜!』

 

「皆さんこんばんはー! 第10回記念『ふわふわラジオ』、そろそろやめてもいいんじゃないかな! MCの上崎茜(CV.花守ゆみり)でーす!」

しょっぱなから何言ってるんですか上崎さん。あ、どうも、柴山蒼汰です。」

「おたより来ねーから話題が無いんだYO!」

「少ない話題を広げていく技量も、MCには求められているんですよ」

「じゃあせめてゲスト呼ばない?」

「予算……うーん、まあ、うん……考えてみましょう」

「言ったな? 公共の電波で言ったな聞いたぞあたしは!? そんなわけであたし的にも記念すべき第10回、始まり始まりー!」

 

(SE)『ふわふわ〜ラジオ〜!』

(CM)

(曲)「刹那の果実黒崎真音)」

 

「凹んだ」

「おっ、なんかデジャブ? まあ先週はあたしが凹んでたわけだけど……なんかあった?」

「うっ、ぐすっ……」

「えっガチ泣き」

「まあ、取り敢えず、おたより読みましょ。チーン!」

「全国に柴山さんの鼻をかむ音が晒されている」

「PNは『さよクロ』さんですね」

「さよくろ」

「『上崎さん、柴山さん。こんばんは。そして、さよならクロノスリベリオン!』」

「一瞬まともなリスナー参加と思っちゃったけど違ったや、やっぱこの番組ヤバい人しか聞いてないよね」

「『そんなわけで、アニメ版のオープニング曲をリクエストします』」

「どんなわけよ」

「『え? やだなあ上崎さん、ちゃんと言ったじゃないですか。さよならクロノスリベリオンって!』」

「おーけー分からん。説明してくれ……いや今の柴山さんのコメントじゃなくておたよりなの? え、この掛け合い、さよクロさんの思うつぼ?」

「『柴山さん……いや! きっとあなたは、同志! ご説明よろしくお願いします! そしてともに冥福を祈りましょう……』だそうですよ、ありがとうございました」

「同志なの?」

「うーん、まあ、一応」

「微妙に歯切れ悪いな。まあいいや、言ってること全然分かんなかったから説明して頂戴な」

「はい。えー、さよクロさんが言ってる話は、スマホゲーム『グリザイア クロノスリベリオン』のことだと思いますよ」

「ソシャゲかあ。てか、断言をしないのか」

「柴山さんなら分かるはず、の一点張りでおたよりの中で明言してくれないんですもん」

「ちゃんと書いて?」

「ま、多分間違いないと思いますよ。で、このゲームは去年の11月にリリースされたものでして、原作にあたるのが結構有名なタイトル『グリザイアの果実』です」

「ふーん……あたしだと、名前は聞いたことあるなあって感じくらいだけど」

「最初の作品がアダルトゲームだったのもあって、知らない人は知らないって感じではありますね」

「あー、Fateとかとおんなじ感じだ」

「いやまあ、あっちは業界でもトップクラスの成功例ですが……そこまででは無くとも、本編の最後までをアニメで無事やり切ったり、原作の数年後が舞台である『ファントムトリガー』シリーズが出たりと結構成功してたほうだと思います。で、それら2シリーズにオリジナル要素を加えた、いわば総決算なゲームを作る! と発表、されたのが2018年冬」

「リリースが去年、2020年だから、えーっと2年くらい? 結構かかったね」

「まあ、それは待っていられたんですよ。僕たちは、作品のファンなわけですから」

「おお、ファンの鑑」

「でしょう? で、この作品について語るのはここまでにしておきましょうか」

「えっ、いや、あんまり分かってないが? 結局どういう話なのよ」

「一つ。あまり、公共の電波で一つのタイトルの悪口を言いたくありません」

「あっ」

「それでも僕は作品シリーズのファンでしたので。スマホゲーの出来がどうであろうともサービス開始からずっとプレイしてましたし、結果として愛着は結構湧いてたんですけどね。もう一つは、今更何を言ったところでもうサービス終了が決定しているのです」

「それで突然泣き出したのか」

「少ない金額でたくさんガチャを引けるので僕としては楽しかったんですけどねえ」

「少ない金額しか入れてなかったのが駄目なのでは?」

「そんなわけで9カ月の短い命を惜しむおたよりでした」

「思ったより短いな」

「もっと短いタイトルも多分結構ありますよ」

「最近ゲーム業界、ソシャゲ大好きだよね」

アメリカンドリームならぬソシャゲドリームですからねえ。『モンスト』や『FGO』並みに稼げる可能性もあるわけですから。まあ、その倍以上は大赤字になる可能性があると思うんですけど」

「いやー、あたし達が知らないだけで、けっこう最初はローコストなのかもよー? 特によくあるタイプの量産ゲーなんて、基本のUI使いまわしてるから元手ゼロみたいなもんでしょ」

「アニメ話題の時も話しましたが、一つ一つのタイトルに愛を持って運営してほしいものですな」

「そういえば、最近話題の『ウマ娘』も制作発表からリリースまでが結構かかったって聞くよ?」

「だからそれは大成功例ですって。お待たせ期間も動画を更新したりして、コンテンツ自体は頑張ってもたせてたらしいですしね」

「そんなにコンシューマゲーは魅力無いのかな」

「どうなんでしょうねえ。それこそ最近だと、モンハンの新作が結構売れてたと思うんですけど」

「『モンスターハンターRise』でしょ? でもあれもさ、ボリュームが足りないだのアップデートありきだの叩かれてたような。人類がソシャゲに慣れすぎなんだよな……月二回イベント更新ある環境、尋常じゃないからね?」

「まあモンハンの場合は、ダブルクロスというアホみたいなボリュームを誇る前例がありましたからねえ。そっちもSwitch版あったので、新作にその規模を期待してた人は余計落胆したんでしょうけど」

「ゲーム会社も大変だよね。常にユーザーの期待を上回らなきゃいけないんだから」

「娯楽の宿命とも言えますけどね。望むものに応えられたから喜んでもらえるのであって、自己満足でいいやとなるとそれは芸術のほうに向かっていくでしょう」

「まあなんにせよ、えーっと、なんて会社だっけ?」

「グリザイアのですか? フロントウイング?」

フロントウイング先生の次回作にご期待ください!」

「次回作と言いつつグリザイアシリーズで来るんじゃ……ファンとしてはそれもまた嬉しいんですけどねえ。時代に求められていないんでしょうか」

 

(CM)

 

 

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