ポっと出に敗れる

「ふわふわラジオ」を連載しています。

第九回ふわふわラジオ(3)

 

「とはいえ、だよ」

「とはいえ、ですね。加害者だなんて言うけど、言うほど悪か? みたいな話してきましたけども、そちらの善悪に関わらず受け手が辛いなら駄目なんですよね」

「駄目、というのは、言ってる側が悪い場合も、勿論あるけど……究極的には環境が悪いんだよね。性格や価値観が合わない人が一緒にいるってのが、そもそも」

「一番簡単なのは別々に生きることなんですよね。分かり合えないなら分かり合わなくていい、これが基本。知見を広げるとかって見方ではあんまりいい方法じゃないかもですけど、人間、基本分かり合えませんから」

「ただそう上手くいかないのが社会でもあり。例えば学校でのいじめは、転校すれば解決するとしても、どっちが転校するの? 費用はだれが負担するの? 家族を巻き込むの? って現実が襲ってくるから」

「そもそも、仲間外れがいじめになる時点でおかしいんですよ本来。性格が合わない人と一緒にいても楽しくないんですから、外されたほうからしてもどちらかと言うとメリットでもある。ただ、じゃあその人と性格合う人が校内という狭い世界の中にいるのか? ってなってしまう。クラスの中なら尚更、それで孤立するようならいじめですよねえ」

「やってることが同じでも、お互いの関係性、周りの状況、感じ手の受け取り方で結果が変わる。万事そうと言えばそうなんだけど、めんどくさいよねー」

「さて、現実的にはどうすればいいんでしょうかね」

「どれに対して?」

「うーん」

「ハラスメントを一切無くしたいなら知識をつけること、当たり障りないとされていることを話すこと。それが無理なら、お互い気を使うとこで妥協しないと」

「まあ、そうですね……いじめは?」

「わからん。予兆があるたび、大人や周りが注意する以外に無いんじゃない? 国のトップ組織とか世界の国々ですら色々理由を付けていじめあってんのに、学校のいじめを元から断つのは土台無理でしょ」

「ニュースとか見てると、人間はやっぱり他者へマウントとるのが目指すとこなのかと思いますよね」

「元から断つことは不可能でも、放置するのはもっと論外だからね。早めに見つける! 早めにやめさせる!」

「早期発見・早期治療って病気みたい」

「似たようなもんでしょ、いじめっ子なんざ組織の癌よ」

「さてさて、元々は何の話でしたっけ?」

「LINEの爆速返信を求められる、だったよね。今日は私忘れてないよ」

「えらいえらい」

「おかーさんかよ」

「まずこれプライベートへの過干渉なのでモラハラですよね?」

「そうだよ。でも学校という狭い世界で付き合わざるを得ないと書いて友人関係だから悩みになるわけで」

「関わらなきゃいいと思っても、イベントや何やらでクラスの一致団結を求められたり」

エスカレートして物や身体に危害を加えられるようになったら……それはそれで警察沙汰にできるけどさ」

「悪評とか流されたりして。それも名誉棄損になるとは思うんですけどねえ」

「そもそもどうやって大ごとにする? 高校生なら兎も角、小学生の時のいじめじゃあ、学校の先生に相談っつったって狭い世界から出れてないし」

「どこまで大ごとにするのか、もありますね。本当に酷いいじめは大問題だとして、本人の感じ方次第で実際には些細と言えることもある。これも警察沙汰にするのか? と」

「こういうのをさ? 脅威にあったとき、壁にぶつかったとき、どんな『対処』をするべきかってことを学校で教えてほしいよね」

「学校に色々と求めすぎ、といも言えますけど、じゃあ別のどこかで教えてほしい。物事を覚えるには教育か失敗体験が必要なんですよ」

「学校が勉強を教えるところなら、集団生活を教えるところはまた別に必要だよねー」

「学校の先生がどっちも指導しろって風潮だからこそ、目の届かない範囲が出たり、ちょっとしたことは揉み消されたりするんでしょうからね。集団生活での立ち回りを教える専門の先生をつけてほしいですよ」

「うーん、いつにも増して明確な答えが出ないトークだ」

「じゃあ最後に、そもそも上崎さんはどういう価値観なの? ってのを聞いて終わりにしましょうか」

「え、今喋ってたつもりだけど。何の価値観?」

「LINEってそんなに爆速返信せにゃならんものか? ってとこです」

「そこー? いや、うーん……あくまで私の思いでいいんだよね」

「はい」

「連絡手段として、メールはいつ読んでもいいもの、電話は急ぎのもの。LINEは限りなくメールに近い中間。つか電話だって出れない時があるわ! かなあ」

「ま、そーですよね。僕も大体同意です」

「寧ろあたしは敢えて返信に時間かけたりするよ。返信にってか、既読つけるまでに?」

「そんなめんどくさいことしてるんですか?」

「相手によるけど、LINE来て嬉しい人ほどそうする。がっついてると思われたくないからね」

「上崎さんガツガツ系だと思ってました」

「何を根拠に何に関してガツガツ思われてたのか微妙だけど、ガツガツだからこそそうじゃないように見せかけるんだよ。てかガツガツってなんだよ!」

「昔懐かしの、返信用に文章打っては消して、打っては消して……ってやってるのかなあなんて想像すると、返信を待つ時間も苦ではなくなるかもしれませんね」

「そうそう。スター☆スラッシュ大根マンさんって、実は私のことが好きなのかしら? って思ってればいいんだよクラスメイト!」

「なんで僕達クラスメイトのほうに語り掛けてるんでしょうか」

「スター☆スラッシュ大根マンさんさんなんも悪くないからでしょ。強く生きてね」

「さて。そろそろお時間ですが……本当いつにも増してふわっふわした会話でしたね」

「人間関係って大体明確な答えが無いからね、話してても結論お互いと状況による、ってなりがちだからねー。それでもと、いじめや、嫌な思いをする人が少しでも少なくなるように、考え続けていかなきゃいけない問題ではあるわけで」

「これからも当ラジオでは、答えの出ない問題を取り扱い、社会に発信していきましょう」

「良さげに言ってるけどようは上手くまとめられませんでした! また改めて話ししよう! ってことだからねそれ」

「……それではおたより、よろしくお願いします! また来週!」

「ばいなーら!」

 

(ED)

(曲)「番組テーマソング(i☆Ris)」

 

 

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